日本では無名の清酒「がんばれ父ちゃん」が韓国で愛されている理由

2017年12月05日 ライフ
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とある日本酒が韓国で大人気を博している。その名は「がんばれ父ちゃん」。新潟県の老舗酒造メーカー白龍酒造が作っているパック酒だ。

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数年前までは新潟県内でのみ流通していたため、一般的には聞き馴染みのない銘柄かもしれない。ただ、韓国におけるパックの日本酒市場では70%のシェアを占めており、「日本酒の定番」などといわれている。

10年間で輸入量が53倍増

日本酒の中には外国人が読めない難しい銘柄も多いが、初級レベルの日本語さえわかれば読める易しいネーミングに、パッケージは口髭を生やしている赤ら顔の父ちゃんのキャラクター入り。

韓国中年男性の目に留まってしまうのも無理はないだろう。

(写真=「テサン酒類」HPより)

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新潟出張中、コンビニで「がんばれ父ちゃん」を見つけたという輸入酒販売会社「テサン酒類」のホン・スンハク代表は、韓国メディア『韓国経済』との取材で「一目惚れした。ちょうど『父ちゃん、頑張ってください』という歌が韓国で流行っていた時期で、パッケージから目が離れなかった」と振り返っている。

2003年から日本産パック酒の輸入をはじめたホン代表は、2006年に「がんばれ父ちゃん」8700本を試しに輸入。

新潟県産の米と水を使った、辛口と甘みの絶妙なバランスが口コミで広がり、2016年には輸入量が46万本と、10年間で53倍に増加した。

「これだけは覚えている」

「がんばれ父ちゃん」が韓国で見事に定着した背景には、ホン代表の戦略もあった。

それは、お父ちゃんのキャラクター入りおちょこやエプロンなど“父ちゃんグッズ”を全国の日本式居酒屋に無料配布すること。

キャラクターを十分に利用し、親しみやすさを引き出したのだ。

韓国のポータルサイト「NAVER」で「がんばれ父ちゃん」を検索してみると、「キャラクターがかわいし印象的でこれだけは覚えている」「デパートの輸入酒売り場で900mlパックとおちょこのセットを見つけて衝動買いした」「韓国の焼酎より甘みがあって飲みやすく、飽きない味だった」という肯定的な書き込みが目立つ。

韓国での爆発的な人気は、日本にも影響を与えた。

新潟県外ではなかなか購入が難しかった「がんばれ父ちゃん」は昨年、韓国人観光客が多いドン・キホーテ福岡店にて販売開始されたのだ。また、台湾とカナダでも現地在住韓国人の要望で2013年から輸入されているという。

韓国の日本酒文化をリードしている「がんばれ父ちゃん」。日本でもぜひとも全国区のブランドに成長してほしいものだ。

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