継母に虐待され12歳でこの世を去った韓国の少年…「私はすでに罪人」裁判で闘った実母の思い【インタビュー】

2025年01月13日 社会 #時事ジャーナル
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「被告人に懲役30年を宣告する」

【注目】「懲役500年でも不十分だ」と被害者の母親

裁判官の宣告に、故イ・シウ君(死亡当時12歳)の実母は涙を流した。1年11カ月にも及ぶ待ち時間の末の結果だった。

継母は原審での懲役17年から13年増え、懲役30年の刑を言い渡された。

これに先立ち、韓国最高裁は2024年7月、児童虐待致死のみを有罪とし、児童虐待殺人を無罪と認定して懲役17年を言い渡した原審を破棄し、事件をソウル高裁に差し戻していた。

継母は2022年3月から2023年2月にかけて、仁川(インチョン)の自宅マンションで義理の息子シウ君を鉛筆やハサミなどで200回以上殴打して虐待し、死亡させた疑いで拘束起訴された。

シウ君の体重は2021年12月時点で38kg(身長149cm)だったが、2023年2月に死亡した時点では29.5kgに減少していた。同年代の平均より約15kg少ない状態だった。

警察の調査で、継母がシウ君の死亡の2日前に彼の目を覆い、16時間にわたり椅子に縛り付けていた事実も明らかになった。シウ君の日記帳には、継母への愛情を求める文章がぎっしりと書かれていたという。

イ・シウ君
(画像=SBS)イ・シウ君

シウ君の死亡事件は、2023年3月18日の報道を通じて世間に知られることとなった。

継母と実父は罪を認めることよりも、裁判所に数十回にわたる「反省文」を提出し、減刑を求めていた。さらに継母は国内7位の規模を誇る大手法律事務所を弁護人として雇い、国民の怒りを買った。

これらの知らせを受け、激怒した市民数千人が被告人たちに厳しい処罰を求める内容の嘆願書を裁判所に提出。シウ君の実母も公判が行われるたびに、法廷前で厳罰を求める内容のプラカードを掲げた。

『時事ジャーナル』は、継母の差し戻し審判決が出た後、シウ君の実母と電話インタビューを行った。以下はその質疑応答の内容だ。

―継母に「懲役30年を宣告する」と言い渡されたとき、どのような心境でしたか。

これまでの時間を振り返ると、悔しくもあり、悲しくもありました。懲役30年という結果を受けても、シウが戻ってこないことに変わりはないからです。

―差し戻し審に至るまで、多くの市民が嘆願書を提出しました。

市民の皆さんに感謝しています。裁判が開かれるたびにプラカードを掲げて抗議しましたが、そのたびに一緒に参加してくださる方もいました。

―1年以上続いた裁判を見守るなかで、最も辛かった瞬間は?

被告人たちは私の子供を殺した人たちです。それにもかかわらず、シウや遺族に対して心からの謝罪の言葉は一言もありませんでした。特に継母は法廷で「18カ月間、シウを育てることができたのは祝福であり、感謝すべきことだ」と言いました。シウを殺しておきながら、どうしてそんな厚顔無恥なことが言えるのかと思いました。

―児童虐待者に対する処罰について、どの程度強化されるべきだと思いますか。

裁判を準備するなかで、児童虐待による死亡事件でも殺人罪が認められる事例が極めて少ないことを知りました。しかし、多くの児童虐待被害者は家庭内で親の暴力によって命を落としています。だからこそ、児童虐待致死罪ではなく、殺人罪が適用されるべきだと考えています。

―児童虐待に関する特別法について、現行法で十分だと思いますか。

児童虐待殺人罪で重刑が下された事件は「チョンイン事件」や「ソヨン事件」くらいです。当時、被害児童の名前を冠した法律が制定されましたが、それ以降の児童虐待事件では一貫性のない判決が出されています。この点は非常に残念です。高等裁判所や最高裁判所の法廷で発言の機会を得て、この問題を指摘しました。

―天国にいるシウ君に何を伝えたいですか。

「ごめんね」という言葉しか言えません。私はすでに罪人となった母親です。でも、シウの無念を晴らすために最善を尽くしたことを、シウに知ってほしいです。また、天国で少しでも安らかに過ごしてほしいと願っています。

―最後に伝えたいことがありますか。

差し戻し審に至るまで、精神的にも体力的にも非常に辛くなりました。それでも、未必の故意による殺人が認められた判例を残すことができたので、今後発生する児童虐待事件の先例になればと思っています。

(記事提供=時事ジャーナル)

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