高市首相「台湾有事発言」の“影響”を強調 中国人観光客の日本離れに韓国メディアも注目

2025年12月19日 経済 #観光客
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日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年11月の訪日外国人旅行客数をめぐって、韓国でも「中国訪日客数の鈍化」に多くのメディアが注目している。

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特に目立つのは、高市早苗首相の“台湾有事発言”による影響を強調する記事だ。

「11月訪日中国人56万人・前月比15万人↓…“台湾発言”影響」と題した通信社『聯合ニュース』をはじめ、経済紙『アジア経済』やネットメディア『ノーカット・ニュース』など多くの媒体が「台湾発言の影響」と見出しを打ち、中国訪日客減少の要因を伝えている。

経済メディア『ヘラルド経済』は「高市首相が先月7日、国会で台湾関連発言をした後に日中関係が急激に悪化し、中国が先月中旬、自国民を対象に“日本旅行自制令”を出したことが影響したとみられる」と報じた。

日刊紙『ソウル新聞』の日本特派員は「東京の浅草寺一帯は多様な国籍の観光客でにぎわっていたが、中国人団体観光客は目に見えて減った雰囲気だった」と“観光現場の変化”を取り上げた。

写真はイメージ
(写真=photoAC)

ほかにも、総合メディア『イーデイリー』が「旅行自制の基調が本格化し、今月以降、中国人訪日客数は追加で減少する可能性が高いという見方も出ている」とし、香港の訪日客数も前年同月比で減少した点に言及した。

一方で、経済メディア『朝鮮ビズ』は台湾訪日客の増加に「高市首相の発言後、台湾ではむしろ日本旅行を督励する声が出た」と触れた。

「日中葛藤と団体観光客のノービザ政策、ウォン価値下落まで重なり、中国人が“コスパ観光地”として韓国を選ぶ傾向が表れている」としたのは一般紙『世界日報』だ。

同紙は中国の旅行専門調査会社チャイナ・トレーディング・デスク関係者による「中国旅行客にとって日本が政治的に“お高い”旅行地になった反面、韓国はコスパの良い目的地になった。ウォン安のおかげでショッピング・美容・医療分野で中国人観光客が増えており、ノービザ政策と韓国文化の人気なども肯定的に作用している」との見解を紹介した。

テレビ局『YTN』も「“中国人民たちの公憤”…日本行きキャンセルしたかと思ったら韓国行き」と、似たような論調で報じている。

なお、2025年11月に最も多く訪日した外国人観光客は韓国人で、11月としては過去最高となる前年比10%増の82万4500人を記録した。JNTOは「継続する訪日旅行人気に加え、仁川~成田間、仁川~鹿児島間の増便をはじめとした航空座席数の増加などの影響もあり、訪日外客数は11月として過去最高を記録した」と、その要因を伝えた。

前述の通り、中国訪日客の落ち込みがはっきりと数字として表れるのは12月以降になる見通しだ。韓国人の日本旅行人気が続くなか、来月も中国と韓国とで訪日客数に明確な違いが出るのか注視したい。

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