2026年2月19日午後3時、内乱首謀の罪で起訴された尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する、司法の初めての歴史的判断が下される。2024年12月3日の非常戒厳宣布から443日後のことだ。
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内乱特別検察チーム(チョ・ウンソク特別検察官)は、かつて全斗煥(チョン・ドゥファン)前大統領に死刑が求刑・宣告されたその法廷で、30年越しに今度は尹前大統領に「死刑」を求刑した。
高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の逮捕状執行を妨害し、国務委員たちの戒厳審議権を侵害した容疑などについては、1審で有罪が認められ、懲役5年が言い渡されている。
崖っぷちに立たされた尹前大統領は、今後、内乱専担裁判部の「違憲性」を集中的に突き、あらゆる「法技術」を総動員するものとみられる。同時に、内乱および反乱首謀として有罪が確定した後、750日で特別赦免を得た全前大統領の道にも視線を向けている。
「こんなバカがどうして自主クーデターをするのか。自主クーデターをするなら、空気を読むのが早くなければならない。自分はあまりにも純真すぎたのではないか」
尹前大統領は1月14日未明まで続いた内乱首謀罪の論告求刑公判で、90分にわたる最終陳述を通じ、「戒厳はメッセージ啓蒙令だった」と主張し、自らの無罪を訴えた。
尹前大統領は、内乱特検チームの“妄想”と“小説”によって裁判にかけられたのだとし、正当な理由で宣布された戒厳令が「狼の群れによる内乱狩りの餌食」になったと強く非難した。「愚か」「純真」などの自責的な発言を続けたが、今回も謝罪や反省はなかった。
パク・オクス内乱特検補が死刑を求刑した瞬間には「失笑」を見せた。尹前大統領は戒厳を阻止するため国会へ駆け付けた市民を「暴徒」と呼び、全前大統領と自分は違うのだという点を強調もした。
内乱首謀容疑の捜査と裁判を通じて、尹前大統領のメッセージが向けられていた先は「尹錫悦アゲイン」を叫ぶ広場だった。しかし、1月14日の死刑求刑の瞬間、一部支持者が浴びせた罵声や特検チームへの非難でざわついた法廷内とは対照的に、外の雰囲気は過去の「逮捕」「拘束」「罷免」の時とは明らかに異なっていた。
論告求刑公判が開かれた1月13~14日と、死刑求刑の余波が続いた1月15日まで、ソウル中央地裁や尹前大統領が収監されている京畿道義王市(キョンギド・ウィワンシ)のソウル拘置所周辺には、小規模な支持者だけが集まっては散ることを繰り返した。双方とも警察に届け出た集会人数は2000人だったが、太極旗(韓国国旗)と星条旗(アメリカ国旗)を持ったごく一部の人だけが椅子に座って空間を埋め、広場は比較的静かだった。
それでも尹前大統領側は、2月の旧正月連休直後に出る1審判決まで、支持層を刺激し、「犠牲者」または「殉教者」イメージを構築していく戦略を展開するとみられる。尹前大統領側は、死刑・無期懲役・無期禁錮という3つの選択肢しかない内乱首謀罪において、死刑求刑がむしろ有利だと判断している。
尹前大統領の側近であるソ・ジョンウク弁護士は「2時間で何の被害もなく戒厳が終わったのに死刑が求刑されたのは過度だが、尹大統領にとって悪いことばかりではない」とし、「死刑の実益がないのに特検が求刑したのだから、かえって弾圧される殉教者イメージを作ることができる」と評価した。法定最高刑が求刑されたことで、これを主導したチョ・ウンソク内乱特検の「政治的判断」が作用したのだという点を積極的に主張できるようになったというわけだ。
歴史講師出身の極右ユーチューバー、チョン・ハンギル氏は、求刑が出た瞬間、自身のYouTubeチャンネルで「むしろよかった。無期懲役よりは、いっそ死刑求刑のほうがいい」とし、「捏造された証拠と捏造された供述で、内乱特検がやりたい放題している。2月に公訴棄却または無罪が言い渡される大逆転が起きるだろう」と断言した。さらに「(チ・グィヨン部長判事が)懐柔と圧力に屈して歪んだ裁判をするなら、国民抵抗権が発動される」と述べ、裁判所を公然と圧迫した。
法曹界では、韓国が事実上の死刑廃止国であることから、尹前大統領に死刑が宣告される可能性は総じて低いと見ている。
内乱首謀および反乱首謀、内乱目的殺人などの罪で起訴された全前大統領も、1審では死刑が宣告されたが、2審で無期懲役に減刑され、最高裁で確定した。裁判官の裁量で刑を減軽する「作量減軽」が適用されれば、死刑は無期懲役または20~50年の懲役、無期懲役は10~50年の懲役へと下がる。
部長判事出身のとある弁護士は、「裁判所が戒厳を国憲紊乱目的の暴動と認めても、死傷者など人的被害が発生していない点や、死刑宣告そのものの実効性を考慮すれば減刑されるだろうが、その幅が問題だ」とし、「1審では尹前大統領が容疑を否認し反省の態度を見せなかったが、控訴審では内乱専担裁判部が担当するだけに、態度を一部変える可能性もある」と見通した。
一方で、事件の重大性に加え、尹前大統領を減刑すれば、内乱重要任務従事などの罪で無期懲役が求刑されたキム・ヨンヒョン前国防部長官に対する「連鎖減刑」が避けられず、法定最高刑がそのまま宣告される可能性も排除できないという観測も出ている。
「内乱罪」成立の可否に対する司法の判断は、尹前大統領の1審判決に先立ち、内乱首謀幇助の疑いを受けているハン・ドクス前首相(1月21日、刑事合議33部/イ・ジングァン部長判事)と、内乱重要任務従事などの罪で起訴されたイ・サンミン前行政安全部長官(2月12日、刑事合議32部/リュ・ギョンジン部長判事)の判決で順次確認される見通しだ。
尹前大統領側の視線は、すでに1審ではなく2審に向いているという分析も出ている。
控訴審は内乱専担裁判部が担当するが、その違憲性を積極的に攻撃する計画であり、訴訟の最大の変数になるとみられる。裁判所の構成と指定を司法府内部で行うよう調整したため、違憲性の要素は消えたというのが、立法を主導した「共に民主党」の立場だ。
しかし、尹前大統領側は「無作為配当の原則」と「特定事件のために事後立法を進めて処罰すること」は違憲だとし、2審開始と同時に違憲法律審判の提請を申し立てる計画だ。もし専担裁判部がこれを受け入れ、憲法裁判所に違憲かどうかの判断を求めれば、裁判は停止される。
ただし、判事会議や事務分担委員会を経て構成された専担裁判部が「違憲」の可能性を認め、憲法裁判所の判断を仰ぐ可能性は大きくないという見方もある。
裁判所が申請を棄却すれば、尹前大統領側は直接憲法訴願を提起できるが、この場合、内乱裁判は中断されない。尹前大統領側が2審でも裁判官忌避申請や「ベッド弁論」、あるいは「法廷フィリバスター」方式で裁判の引き延ばしを試みるだろうという観測も出ている。
現在、尹前大統領が受けている刑事裁判は計8件だ。昨年1月、公捜処の逮捕状執行を妨害し、2024年12月3日の非常戒厳宣布を前に一部の国務委員だけを国務会議に招集して、出席できなかった委員たちの戒厳審議権を侵害した容疑などについては、1審で懲役5年が宣告された。
尹前大統領側は、1・2審で内乱首謀罪による無期懲役が言い渡され、最高裁で確定したとしても、実際の収監期間は「最大5年」だと見込んでいるという。拘束された歴代元大統領の中で最長の収監期間は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の1736日だ。李明博(イ・ミョンバク)前大統領は958日、盧泰愚(ノ・テウ)前大統領と全前大統領はそれぞれ767日と750日だった。
最も重い犯罪容疑を受けた全前大統領は、皮肉にも1997年に特別赦免を受けて釈放され、「最短」の収監生活となった。尹前大統領は「誰も死んだり怪我をしたりしていない」として全前大統領と自分は違うと主張しているが、「5年以内の赦免・出所」を図るという点においては、「全斗煥の道」を歩もうとする可能性が高い。
法律家出身のある政界関係者は「支持層と世論の影響を大きく受ける元大統領に対する特別赦免は、戒厳について明確な謝罪や反省のメッセージがなければ難しく、『忘れられた存在』になってもいけない」とし、「選挙をはじめとする重要局面ごとに、尹前大統領が獄中メッセージを出したり、青年層を鼓舞する形で登場し、自身の存在感を継続的に喚起しようとするだろう」と予測した。
さらに「全前大統領の場合は、犯罪発生から長い時間が経ってから処罰が行われたが、尹前大統領は直後に弾劾と裁判が進んでおり、状況がまったく異なる。内乱に対する国民認識も変化している。尹前大統領には政治的派閥もないため、誰も簡単には赦免問題を持ち出せないだろう」との見方を示した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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