「韓国は協定を受け入れるか、既存の25%関税を課されるかのどちらかだ。二者択一の問題だ」(ハワード・ラトニック米国商務長官)
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「利益にならない協定に署名する理由はない。少なくとも合理的な署名となるよう努力すべきだ」(李在明大統領)
米韓両国が関税をめぐる後続協議で、再び神経戦に突入した様相だ。7月31日の劇的な協議妥結に続き、8月25日(現地時間)の首脳会談で和やかな雰囲気を演出してからわずか20日後のことだ。
両国は①対米投資の構造、②投資対象の選定方式、③投資利益の配分比率をめぐって意見の相違を見せている。特に韓国大統領室が「国益は協議期間とは関係ない」と断言したことから、後続協議が膠着状態に陥り長期化する可能性も指摘されている。
韓国政界によると、産業通商資源部のヨ・ハング通商交渉本部長が9月15日にアメリカに出国し、ジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表ら米通商当局関係者と会い、関税協議に関する後続協議を行う計画だという。
これに先立ち、キム・ジョングァン産業部長官も9月11日から14日まで訪米し、ハワード・ラトニック米国商務長官と会談して関税後続協議に臨んだが、成果を得られず帰国していた。
このように通商の「ツートップ」が相次いで渡米したこと自体が、アメリカとの関税後続協議が難航している証左と見られる。両国は7月の劇的な関税協議妥結を通じ、アメリカが韓国に対する関税および自動車関税を15%に引き下げる一方、韓国は総額3500億ドル(約51兆円)規模の対米投資を行うと合意した。
しかし項目ごとの詳細な協議は、依然として決着していない。
両国が主導権をめぐって神経戦を繰り広げている核心争点は大きく3つだ。3500億ドルの対米投資額の投資構造、投資対象の選定方式、投資利益の配分比率である。
アメリカが押し通そうとしている方針は「ドルの直接投資で、アメリカが指定する場所に、利益の90%をアメリカが獲得」という一文に要約できる。これに対し韓国は「国益を守る範囲で協議する」として、アメリカの全面的な圧力に対抗する姿勢を見せている。
具体的には、アメリカは韓国が3500億ドルを特別目的会社(SPC)に直接投入するよう要求しているとされる。つまり直接投資比率を高めろと圧力をかけている格好だ。
これに対し韓国は、直接投資比率を5%程度まで最大限低く抑え、残りは出資・融資・保証などで賄う方針だ。また投資対象の選定方式についても、アメリカは自国が主導権を握ると強硬な姿勢を示す一方、韓国は投資参加企業が事業性を検討して判断すべきだと線を引いている。
投資で生じる利益の配分をめぐっても両国の綱引きは激しい。アメリカは「投資元本回収前は折半、その後はアメリカが90%」と明記された日本との合意文書を持ち出し、それに準じた「投資利益の90%」を自分たちが得ると主張している。
これに対し韓国政府は、それをアメリカへの再投資の概念として解釈しており、「アメリカの要求は不合理だ」と強く反発している。
韓国側にも交渉カードはある。アメリカとの造船・製造業協力で優位を占めている部分や、最近米ジョージア州で発生した韓国企業人の拘束事件などがそれだ。
この韓国企業人拘束事件により、韓国企業内でもリスクを懸念し対米投資をためらう雰囲気がある。
これを意識したのか、ドナルド・トランプ米国大統領もSNSで「アメリカに投資する外国や外国企業を怖がらせたり萎縮させたりしたくない。(外国の熟練工たちが)アメリカ人に複雑な製品を作る方法を教え、訓練してほしい」と述べ、安心させようとする意図を示した。
こうした状況や変数を総合的に勘案した結果なのか、韓国側にもアメリカとの協議を長期戦に持ち込む気配がうかがえる。
李在明大統領は9月11日の就任100日記者会見で、「なぜ訪米で関税合意文に署名できなかったのかと言うが、今回の訪米は何かを得に行ったものではない」とし、「アメリカの一方的な関税引き上げに最大限防御するための場だった」と強調した。そして「大韓民国の国益に反する決定は絶対にしない」との方針を改めて強調した。
韓国大統領室のカン・ユジョン報道官も同日のブリーフィングで、「協議が長期化すれば国益が損なわれるのではないか。協議のデッドラインを設けているのか」との質問に対し、「長期化で国益が損なわれるというのはどのような根拠か理解できない。協議期間と国益が必ずしも結びつくとは言えない」と述べ、協議での最優先考慮事項は「国益」だと強調した。
特に拘束事件については、「我が政府はアメリカ側に強い遺憾を表明し、国民の権益や人権が不当に侵害されてはならないと求めた。現在も人権侵害の有無などをより綿密に調べている」と述べた。
ただし協議が長期化すれば、自動車や半導体など韓国内の主要産業界が結局は打撃を受けざるを得ない状況だ。
関連して、一部では9月23日に米ニューヨークで開催される第80回国連総会を機に李在明大統領とトランプ大統領が再び会談する可能性が高く、その場で膠着状態にある複雑な協議を解きほぐす解決策が出てくるのではないかとの期待も出ている。
(記事提供=時事ジャーナル)
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