フィリピンに“また”慰安婦像が設置されたという。
『産経新聞』が報じたところによると、「パナイ島北部カティクランの桟橋近くの私有地で(2月)5日、日本軍占領下の慰安婦など2人のフィリピン人女性をモデルにした像の除幕式が行われた」という。
また、その像の土台には「第二次世界大戦時の日本軍による性的奴隷としてのフィリピン人慰安婦」などと書かれたプレートも埋め込まれているそうだ。
フィリピンでは近年、何度か慰安婦像が設置されてきた。
最も大きな話題になったのは2017年12月、フィリピンの首都・マニラに初めて慰安婦問題を象徴する女性像が設置されたことだ。
設置場所は日本大使館から3キロほど離れたところで、「1942年から1945年の日本の占領下で虐待の被害にあったすべてのフィリピン人女性の記憶」などと記されていた。記憶に新しい人もいるかもしれない。
また2018年12月には、フィリピン北部のラグナ州サンペドロ市に慰安婦像が設置されている。韓国にある慰安婦像とまったく同じデザインのものだ。
その慰安婦像は、同市長が2017年9月に韓国の忠清北道・堤川(チェチョン)市を訪れて慰安婦像の設置を提案し、当時のイ・グンギュ堤川市長などが積極的に支援して設置が実現したらしい。
実際にサンペドロ市で行われた除幕式にはイ・グンギュ市長をはじめ、駐韓日本大使館前にある慰安婦像を制作したキム・ソギョン、キム・ウンソン夫婦など、韓国代表団8人が出席している。
興味深いのは、上述した2つの慰安婦像は、いずれもすでに撤去されているということだ。
首都マニラに設置された慰安婦像は、2018年4月に撤去されている。韓国メディア『聨合ニュース』は、「日本側の強力な要請があり、その後に撤去された」と伝えていた。
またサンペドロ市の慰安婦像も、昨年12月30日に撤去されている。設置されたのが12月28日なので、わずか2日で撤去されたことになる。
ただ、こちらの撤去は日本の反対ばかりが決め手になったわけではなさそうだ。実際にサンペドロ市の市長は、日本の反対によって撤去したとは言っていない。
むしろ市長が1月3日に発表した声明によれば、「平和と女性の権利を願ってフィリピン国民と韓国人の友情を表現するためのものであったのに、韓国人たちが像の横にフィリピン女性像を置かず、元来の意義が損なわれた」と主張した。
さらに「フィリピンと日本の良い関係を毀損する意図はなかったが、“未完成”な彫刻像によってその懸念が提起されて、これ以上の議論を避けるために撤去した」と明かした。
端的にいえば、撤去の原因は日本の反対ではなく、韓国の落ち度にあるという主張だ。
もしこの主張が真実であれば、なんとも皮肉な結果だろう。
フィリピンに慰安婦像が設置されるたびに、「フィリピンも各都市に慰安婦像を作るべき」「日本は何が遺憾なのか。反省する気がない」などと盛り上がっていたからだ。
今回、新たに報じられたパナイ島の慰安婦像は私有地に設置されているとのことで、日本側の反対や要請で撤去することは難しいと考えられる。
ただ、フィリピンに設置されたこれまでの慰安婦像を振り返ると、「すぐに撤去される」という末路を迎えているのも事実だ。
はたして今回設置された慰安婦像は、どんな末路を迎えるのだろうか。注目してみたい。
前へ
次へ