アジアを代表する“巨大航空会社”に進化…大韓航空とアシアナ航空の企業統合が完了、独占への憂慮も

2024年12月11日 経済 #時事ジャーナル
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大韓航空がアシアナ航空の株式を取得し、韓国の主要航空会社(FSC)間で初となる企業統合が完了した。

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12月11日、大韓航空とアシアナ航空の合併手続きは、大韓航空によるアシアナ航空の株式取得をもって一段落した。

4年近く続いた世界14カ国の「企業結合必須申告国」における承認手続きは、11月28日に欧州連合(EU)執行委員会が最終承認し、アメリカ司法省(DOJ)が新株取得前までに異議を申し立てなかったことで、事実上、この日をもって終了した。

大韓航空は商法に基づき、新株の払込日の翌日である12月12日にアシアナ航空を子会社として組み込む。商法では、払込日の翌日から新株取得者に株主としての権利・義務が発生すると規定している。

大韓航空は1月16日に予定されているアシアナ航空の臨時株主総会を経て、新たな代表取締役や主要役員の人事を行う予定だ。その後、約2年間の独立運営期間を設け、企業文化の融合やマイレージの統合など、化学的な結合プロセスに注力する。

大韓航空
(写真=大韓航空)

アシアナ航空の新代表取締役には、大韓航空のソン・ボヨン旅客事業本部長(専務)が有力視されている。また、アシアナ航空の子会社である格安航空会社(LCC)エアプサンの新代表には、大韓航空のチョン・ビョンソプ旅客営業部担当(常務)が、営業本部長には大韓航空のソン・ミョンイク企業結合タスクフォース常務が、エアソウルの新代表には大韓航空のキム・ジュンホ部長が取り沙汰されている。

ただし大韓航空は、今後の人事に関する主要な事項は現在確定していないと説明している。

大韓航空は新経営陣の体制の下で、アシアナ航空を2026年末まで子会社として運営し、化学的な統合のプロセスを進める計画だ。

まず、消費者が最も関心を寄せるマイレージの統合手続きに着手し、アシアナ航空が大韓航空に完全統合される2026年末以降から統合マイレージを適用する。また、組織文化の融合や人材交流、統合後の企業イメージ(CI)、機体やユニフォームのデザイン変更も子会社運営期間中に進められる見通しだ。

統合期間中には、大韓航空の子会社であるジンエアー、エアプサン、エアソウルの3つのLCCを「統合ジンエアー」として合併する作業も進められる。この3社の統合も競争当局の承認が必要だが、大韓航空とアシアナ航空の審査ほど時間はかからないだろうというのが業界の見解だ。

今回の企業結合は、国内唯一の「メガキャリア」(超大規模航空会社)の誕生を意味する。

アシアナ航空
(写真=アシアナ航空)

統合後の航空会社の保有機材数は、大韓航空の158機(旅客機135機、貨物機23機)とアシアナ航空の80機(旅客機68機、貨物機12機)を合わせて計238機となる。また、ジンエアー、エアプサン、エアソウルが統合されることで、保有機材数は58機(ジンエアー30機、エアプサン22機、エアソウル6機)となり、既存のトップであるチェジュ航空(41機)を上回り、LCCの首位に立つ。

統合によって、売上高や資産規模も大幅に増加する。2023年基準で両社の統合後の売上高は21兆1000億ウォン(約2兆2355億円、大韓航空14兆6000億ウォン、アシアナ航空6兆5000億ウォン)、統合後の資産は42兆8000億ウォン(約4兆5353億円、大韓航空31兆ウォン、アシアナ航空11兆8000億ウォン)に達する。

一方で、統合航空会社の市場占有率が高まることで、独占的な体制により運賃の上昇や、重複する路線の統廃合による消費者の選択肢減少などの副作用が懸念される。

そのため主管省庁である国土交通部と公正取引委員会が、独占の有無を厳密に監視する必要があるとの指摘が出ている。

公正取引委員会は近く全員会議を開き、海外の競争当局の審査結果を反映した両社の企業結合に関する是正措置を最終調整する計画だ。

同委員会は2022年2月、両社の企業結合を条件付きで承認し、路線運賃の引き上げを2019年の物価上昇率を超えない範囲に制限し、座席供給数を2019年基準の一定比率未満に縮小することを禁止した。当時、縮小禁止の基準となる比率は企業結合前に定めるとされていた。

(記事提供=時事ジャーナル)

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