非常戒厳令の影響で韓国国内の混乱が著しいなか、「韓国観光に問題はない」と韓国政府側が強調した。
韓国のソウル新羅ホテルでは12月9日、日本と韓国の観光交流拡大策を議論する「日韓観光ビジネスフォーラム」が行われた。
この「日韓観光ビジネスフォーラム」は、韓国と日本の観光産業の協力を強化し、持続可能な交流の方策を議論するために企画された。来年の日韓国交正常化60周年を前にした今回のフォーラムには、両国の政府関係者、観光業界および関連産業の関係者約120人が参加した。
その場で、韓国文化体育観光部のチャン・ミラン第2次官は「最近、多くの日本人が韓国訪問を心配しているという話を聞いた。韓国の日常は変わらず維持されており、主要観光地なども通常通り運営されている」と話した。
これは、12月3日夜の非常戒厳令以降、世界各国が韓国旅行の注意喚起を出すなど不安が高まる状況に対応したものであると考えられる。
チャン次官は「韓国は慶州(キョンジュ)で来年11月にアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を開催し、日本は大阪・関西万博を通じて世界中の来訪者を迎える予定だ」と述べたうえで、「韓日観光業界は、両国間の人的交流だけでなく、政策の優れた事例を共有し、産業間交流を拡大する重要なパートナーだ」と強調した。
一方、日本の国土交通省観光庁の秡川直也長官は挨拶のなかで、今年日本を訪れた外国人観光客のうち韓国人が全体の約25%を占めたことについて言及し、両国間の活発な交流に感謝の意を示した。
秡川長官は「来年の大阪万博をきっかけに、さらに多くの韓国人が日本を訪れてくれることを期待しており、大阪だけでなく日本の地方観光地にも多くの関心を持ってほしい」と呼びかけた。
韓国側は非常戒厳の影響は限定的とアピールしているわけだが、その声が届くかは未知数だ。
NHKが12月6日から3日間行った世論調査の結果によると、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が非常戒厳を宣言したことなどを受けて、日韓関係への影響を懸念しているか聞いたところ、「非常に懸念している」が26%、「ある程度懸念している」が40%に上った。懸念を示している人が7割近いという結果だ。逆に「あまり懸念していない」は18%、「まったく懸念していない」は7%にとどまった。
実際に非常戒厳事態の発生後、韓国政府と旅行・観光業界は共同の状況対応チームを構成して対応に乗り出したが、訪韓計画や予約をキャンセルするケースが相次いでいる。
業界関係者によれば、一部の日本の修学旅行団体が訪韓をキャンセルしたほか、専門の旅行代理店を通じて韓国訪問を予定していたサウジアラビアの王子一行も旅行を取りやめたことが確認された。
また、戒厳事態直後にはスウェーデン首相が訪韓を延期し、アメリカ国防長官も訪韓を見送った。カザフスタン国防長官に至っては訪韓を中止した。
さらにブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は最近発表した分析報告書で、2025年の第1四半期に韓国を訪問する中国人観光客数を前年同期比19%減の83万人と予測している。
現在の韓国を「正常ではない」と判断する国が多いわけだ。
チャン次官のアピールに対して、韓国のオンライン上でも「今のソウルに遊びに来るなんてあり得ない。毎日デモをやっているのに」「あなただったらこんな国に来ますか?」「次官、しっかりして。またいつ軍人が銃を手にするかもわからないのに」といった声が上がった。
好調な日韓交流に歯止めがかかる事態に陥らなければ良いが、はたして。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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