仁川(インチョン)国際空港が永宗島(ヨンジョンド)に開港してから、いつの間にか20年以上が経過した。
何もない孤立した島にぽつんと設置された巨大な空港が、違和感を与える時期もあった。しかし、現在の仁川空港の勢いはすごい。世界中の空港の航空サービスを評価する調査で、常に上位5位以内に名を連ねている。
特に安全性と効率性の面では「世界最高レベル」にある。
各国の航空会社および空港を評価するコンサルタント会社「スカイトラックス」は、毎年様々なテーマでランキングを発表している。「最高の機内エンターテインメント」「最高の荷物輸送サービス」「最高のエコノミークラス」など、奇抜で細かいランキングが多い。
これは、旅行時に人々が重視する要素がそれぞれ異なるということを意味しているのだろう。
仁川国際空港は、スカイトラックスの2024年のランキングで「最も家族に優しい空港」1位にランクインした。また、「最も清潔な空港」2位、「最高の保安検査」3位、「最高の空港職員」3位、「出入国審査サービス」4位など、華やかな成果を誇っている。
しかし、そんな仁川空港でもランクインできなかった部門があった。それが「最も芸術的な空港(World's Best Art in the Airport)」だ。
1位に輝いたアメリカのヒューストン空港(ヒューストン-ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港)には、3つのターミナルを合わせて350点以上の公共美術作品が展示されているという。これは、空港に留まってから旅立つトランジット客が多い点に着目したアイデアであり、ヒューストン空港のコレクションは市内のギャラリーにも劣らないほど有名だ。
もともと空港は、単なる交通物流施設ではなく、国や都市の玄関口として特別な意味を持っていた。時には旅行地の記憶や印象を完全に左右することさえある。
仁川空港が入国ホールに伝統文化をテーマにしたメディアウォールを設置し、天井に大規模なキネティック作品を設置しているのは、空港に対する人々の期待や国際的な基準が以前とは変わってきたことを示唆している。
永宗島は、干拓事業によって4つの島をつなげて作られた土地だ。特に仁川空港がある場所は、もともと海だった。空港周辺が特に何もないと感じられる理由でもある。
最近は状況が少し変わり、かつてはなかったホテルやリゾート施設があちこちに見られる。最初は早朝や朝の便を利用する人々に近い宿泊施設を提供する程度だったが、今では空港を利用しない人々も、わざわざ永宗島を訪れる「名所」となった場所もある。
その代表的な例が、2017年にオープンしたパラダイスシティだ。草間彌生、ジェフ・クーンズ、ダミアン・ハーストといった、美術に興味がない人でも一度は聞いたことのある有名作家の作品を一堂に集めて注目を浴びた。
パラダイスシティが永宗島を「芸術の島」にしてからわずか6年、今度は最先端のメディアアートとエンターテインメント施設を備えた場所が登場した。
2023年にオープンしたインスパイアリゾートは、劇場、カジノ、ウォーターパーク、超大型キッズカフェに加え、宇宙旅行をテーマにした没入型メディアアート展示、約150メートルにわたる天井と壁に設置されたLEDリアルタイムコンテンツなど、今流行のすべての楽しみが集められた。開業からまだ1年も経っていないが、すでに仁川空港を通じて入国する外国人の間でも話題となっている。
12月に公開される仁川空港第2ターミナルの拡張区域は、効率的な出入国プロセスをサポートする技術に加え、特に「エンターテインメント」的な要素に力を入れている印象がある。人工知能を活用した天井構造物や、昌徳宮後苑を再現した庭園まで設置されている。
入国ホールと出国ホールに設置された超大型LEDビジョンには、航空便情報だけでなく、カラフルな映像も再生される。メディアウォールと没入型アートコンテンツにあふれた都市環境の需要に、積極的に応えようという意思が感じられる。
永宗島の20年は、単なる空港開発の時間だけではなかった。このような不毛の地に国を代表する国際空港を建設するのは、あまりにも無謀だという懸念を超え、現在永宗島は韓国のどの大都市よりもホットな場所となっている。
海外旅行や空港という空間に対する変化した認識と期待、価値観に合わせて、ますます華やかになり、島全体がまるで一つのテーマパークのような姿を見せている。これが新たな都市文化のモデルなのか、それとも気まぐれな大衆が生み出した短期間の流行に過ぎないのか、今後注目していく必要がある。
(記事提供=時事ジャーナル)
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