トランプ大統領の最初の行政命令に“泣き笑い”の韓国企業…自動車や二次電池産業には厳しい影響か

2025年01月22日 経済
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ドナルド・トランプ大統領が4年ぶりにホワイトハウスに帰ってきた。

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「一日も欠かさずアメリカを最優先する」と宣言し、「アメリカ第一主義2.0」を打ち出したトランプ大統領は、行政命令を通じてその実行に移った。

78の行政措置のうち、エネルギー分野の政策は韓国経済に直接的な影響を与える見通しだ。石油・ガス・造船関連産業には好材料が期待される一方、自動車や二次電池産業には厳しい影響が及びそうだ。

石油掘削技術を持つ韓国企業に恩恵の可能性

トランプ大統領は1月20日(現地時間)、就任直後にバイデン政権時代の行政措置78件を無効化する1号行政命令を発令した。

同時に「国家エネルギー非常事態」を宣言し、「石油・ガスの掘削と生産を拡大し、エネルギー価格を引き下げて再び製造業大国を作る」と宣言した。アメリカ史上初の連邦政府による「エネルギー非常事態」の宣言を通じて、エネルギー覇権を握る意図だ。

さらに「我々の足元にある『液体の金』(liquid gold、石油・ガス)で再び豊かな国家になる」と述べ、石油と天然ガスの生産と輸出を拡大する意向を明確にした。

トランプ大統領
(写真=トランプ大統領Instagram)

化石燃料へのエネルギー政策の転換により、韓国企業の間でも明暗が分かれる様相だ。

まず、世亜(セア)製鋼が有力な受益企業として注目されている。石油を掘削するには掘削用鋼管が不可欠であり、世亜製鋼は関連技術と炭素鋼、ステンレス鋼、構造用鋼管、エネルギー用鋼管の生産能力をすべて備えている点で注目を集めている。

特にバイデン政権時代の「グリーン・ニューディール」政策の影響で関連機材の製造業者が撤退したため、アメリカ国内で石油掘削が本格化すれば、世亜製鋼の鋼管需要が増加する見通しだ。

また、同社がアメリカ現地に工場を保有している点も有利に働く。世亜製鋼は2016年にアメリカ・ヒューストンの工場を買収し、生産拠点として活用しており、年間生産量は約25万トンに達する。韓国の鉄鋼メーカーで唯一、アメリカ現地に鋼管工場を運営しており、今後トランプ政権が追加関税を導入しても影響を受けにくい点で、北米市場での競争力が高まると見られる。

ロッテ精密化学も期待されている。

石油を掘削するには砂利や泥などを地上に引き上げる必要がある。これらの不純物を水と混ぜてゼリー状にする素材である「HEC(ヒドロキシエチルセルロース)」は、高付加価値素材であり、高度な製造技術が必要だ。

ロッテ精密化学はこれを製造できる技術を有しており、世界で同素材を製造しているのはロッテ精密化学、アメリカのアシュランド、日本の信越化学の3社のみだ。HECの需要が急増するほど、ロッテ精密化学の収益性も大幅に改善する見通しだ。

韓国の造船業界にも好機が訪れる可能性があるとの分析が出ている。

トランプ大統領は同日、バイデン政権時代に保留されていた新規液化天然ガス(LNG)輸出施設の建設申請書の審査再開を指示した。これはLNG輸出の準備作業に着手することを意味しており、これにより韓国の造船業者はLNG運搬船の受注拡大に期待を寄せている。LNG生産が増加すれば、それを輸送するためのLNG運搬船の需要も増えるためだ。

韓国輸出入銀行の海外経済研究所の分析によると、今年と来年、アメリカと中東を中心にLNG生産が増加し、LNG運搬船の需要も11%成長すると予測されている。

「電気自動車義務化の廃止」で二次電池業界に打撃

二次電池業界はトランプ政権第2期が始まるやいなや、「放電」危機に直面している。

トランプ大統領は同日、電気自動車(EV)の義務化(electric vehicle mandate)を廃止するよう指示し、「消費者の真の車両選択を制限する規制の壁をなくすべきだ」と述べた。

現在、連邦政府には電気自動車義務化の規定はない。しかしバイデン政権時代には、2030年までにアメリカ国内で生産される新車の50%を電気自動車にするという行政命令が発令されていた。これにより、行政命令の無効化と同時に、インフレ抑制法(IRA)に基づく電気自動車購入者への税額控除や補助金の縮小・廃止措置が続くと見られている。

業界では、トランプ大統領の指示による電気自動車市場の縮小を懸念している。特に大きな影響を受けるのは、電池を製造する二次電池業界だ。

LGエナジーソリューションは2024年第4四半期に2255億ウォン(約245億円)の営業損失を記録するなど、業界全体が需要の一時停滞による業績悪化に直面している。そこにトランプ政権の反電気自動車政策が加わり、さらなる逆風を受けている。

このため韓国政府と業界は最近、「二次電池緊急対策タスクフォース(TF)」を設置し、解決策の模索に取り組んでいる。

自動車業界も困難な局面に直面している。環境対応車の拡大計画を修正せざるを得ない状況だ。

現代自動車・起亜自動車は、アメリカ・ジョージア州に建設中の電気自動車専用工場(現代自動車グループ・メタプラント・アメリカ)に、ハイブリッド車の生産設備を大幅に増設する案を検討している。

韓国政府も緊急対応に乗り出した。

チェ・サンモク大統領権限代行(副首相兼企画財政部長官)は1月22日、政府ソウル庁舎での会議で「トランプ米大統領は就任演説と行政命令を通じて『アメリカ第一主義』に基づく大規模な政策転換を示唆した」と述べ、「エネルギー政策の変化や電気自動車優遇措置の廃止など、韓国経済に与える影響を精密に分析し、迅速に対応する」と語った。

(記事提供=時事ジャーナル)

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