日本でも多くの視聴者に親しまれている韓国ドラマだが、華やかな作品たちの裏側には、いまだ解決されていない制作現場の課題が横たわっているようだ。
1月9日、Genie TVオリジナルドラマ『ジョンボドクター』(仮題)の制作会社ザ・スタジオMは、「ドラマ制作現場で発生した問題によりご心配をおかけしたこと、そして何より現場で最善を尽くしてくださったスタッフの皆さまに心よりお詫び申し上げる」と謝罪のコメントを発表した。
同社は「撮影時間をめぐって提起された問題を重く受け止めており、制作会社として責任ある姿勢で解決に取り組む」としたうえで、「効率的な制作環境を整えるため、撮影スケジュールの調整や運営方式の見直しを進めてきた」と説明。「逼迫した制作現場の状況を考慮し、スタッフに説明を行い意見を収集する過程も踏んだが、結果として現場の実際の撮影強度や蓄積した疲労度を十分かつきめ細かく把握できなかった点について、重い責任を感じている」と述べている。
この謝罪に先立ち、前日の8日にハンビッメディア労働人権センターが「ENAで放送予定のGenie TVオリジナルドラマ『ジョンボドクター』において、週52時間を超える長時間労働が行われていることを確認した」と公表して注目を集めた。
同センターによると、『ジョンボドクター』は昨年9月に撮影を開始し、12月だけで3週連続、週63時間の撮影が行われたという。今年1月5日から11日にかけては、週65時間の撮影スケジュールが組まれていたとされる。
また、「全撮影期間15週のうち、5週が週52時間を超える違反となっているのは、近年のドラマ制作現場では例を見ない高い頻度だ」と指摘し、「往復3時間以上に及ぶ長距離移動まで含めれば、15週中7週が違反に該当する」と問題の深刻さを強調した。
韓国では2018年の勤労基準法改正以降、労働団体や市民社会の働きかけにより、ドラマ制作現場でも週52時間基準が相当程度定着してきたとされる。現在は、休憩時間を除いて1日13時間の撮影を週4回行うという形が一つの慣行として広まりつつある。
そうした状況と照らし合わせれば、『ジョンボドクター』での長時間労働が強い批判を受けるのは避けられないだろう。
韓国ドラマはその完成度の高さによって世界的な評価を獲得してきた。だが、その裏で過酷な労働環境が常態化し、制作現場の負担が置き去りにされているとすれば、その成功は決して胸を張れるものとは言い難い。
いま求められているのは、作品のクオリティだけでなく、制作過程がどれほど健全であるかも含めて評価される姿勢だろう。名作は現場の犠牲の上に成り立つものではなく、持続可能な環境の中からこそ生まれる時代に来ている。
(記事提供=スポーツソウル日本版編集部)
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