ただ、一部にはTシャツ着用は軽率だったという声もあった。
気になって知人の韓国記者に意見を尋ねてみると、「テレビ局の判断もオーバーだが、BTSももう少し慎重になるべきだったかも」と前置きしたあとで、こんなことを言っていた。
「今はネットを介して瞬く間にその動向が配信される時代。ましてBTSは世界中にファンを持つ。国が違えば価値観も歴史観も異なる。韓国では良いメッセージであっても、他国では刺激的だったり受け入れられないこともある。そういったことに配慮することも必要だったのではないか」
これまでも多くのK-POPアイドルたちが何気なく歌った歌が反日的だと指摘されたり、逆に親日だとされて波紋を呼んできたが、そこに政治的な意図や思惑がなくとも、受け止める側のほうにも気を配るべきだということだ。
いずれにしても、今回の騒動は韓国でも大きく取り上げられている。
「(『ミュージックステーション』の)出演が見送られたことで、韓国では、BTSを反日グループのように扱う日本の極右団体を非難する声や、BTSが嫌韓の標的にならないかと心配する声が上がっている」(『SBS fun E』)という。
それだけに気になるのは、BTSの今後の日本活動への影響だろう。
BTSは、今月13日からワールドツアーの一環として日本での4大ドーム公演がスタート。年末の紅白歌合戦への出場の可能性も囁かれてきた。
まさに人気絶頂を迎えているわけだが、そんななかで今回の出演キャンセルが波紋を広げ、日本でのイメージダウンにつながらないか心配でもある。
最近は、BTSとのコラボが中止となった秋元康氏が韓国のネット上で“右翼判定”されバッシングを浴びたこともあったが、今回の騒動も余波が続かないか心配だ。
韓国メディアは、「BTSは11月7日に日本で発売した9枚目のシングル『FAKE LOVE/Airplane pt.2』がオリコンデイリーシングルランキング1位はもちろん、自己最高となるオリコンポイントも獲得した。日本で牽制を受けても、BTSの人気には問題がない」(『スポーツソウル』)と報じているが、はたして……。
(文=慎 武宏)