いよいよ開幕した北京冬季五輪。日本では女子カーリング日本代表のスキップを務める藤澤五月が人気だが、実は彼女は韓国でも有名である。
4年前の平昌(ピョンチャン)五輪のときは多くの韓国メディアが彼女のことを取り上げ、韓国の大手ポータルサイトのリアルタイム検索でも「藤澤五月」が上位でランクインされたほどだ。
韓国メディアで取り上げられるとき、必ず引用として紹介されているのが「人気女優のパク・ボヨンに似ている」という反応だ。
ただ、日本では「パク・ボヨン」と聞いても今ひとつピンと来ないかもしれない。
韓国ドラマや映画に詳しい人ならご存知かと思うが、パク・ボヨンは愛らしくて溌剌なイメージで万人に愛されている人気女優だ。その証拠に、韓国では“トップスターの証”にもなる焼酎の広告にも起用されてきた。
芸歴は長く2006年に16歳で芸能界デビュー。
2008年に出演した映画『過速スキャンダル』でチャ・テヒョン(映画『猟奇的な彼女』に主演)の娘役を演じ、人気がブレイクした。青龍映画賞、百想芸術大賞、韓国映画評論家協会賞など主要映画賞で新人賞を総なめにしたほどだった。
ただ、2010年に映画出演をめぐって制作会社や所属事務所と衝突。訴訟騒ぎまで発展する窮地にも立たされた。
ちなみにこのときの映画とは、2010年バンクーバー五輪で金メダルを獲得したキム・ヨナ人気にあやかってフィギュアスケートを題材にした映画だった。
主役に抜擢されたパク・ボヨンは、役作りのためにフィギュアスケートの練習にも取り組んだが、練習中に負ったケガの治療のために向かった病院で、「注射を打つので下着を脱ぐように」と所属事務所に強要されたという。パク・ボヨンも韓国芸能界の悪習の被害者だったのだ。
こうしたパワハラへの反発からパク・ボヨンは当時の所属事務所との専属契約を解除し、シナリオへの不信感もあってフィギュア映画を降板した(結局、映画は白紙となった)。
一連の騒動でパク・ボヨンはイメージダウンも避けられない状態だったが、新事務所で取り組んだ2012年公開の映画『私のオオカミ少年』が大ヒットして完全復活。その後も順調にキャリアを重ねて現在に至っている。
2017年9月には“国民の初恋”と呼ばれ絶大な人気を誇るスジを差し置いて、韓国の社会人約700人が選んだ「理想の女性新入社員」アンケートで堂々の1位にも輝いているほどだ。
いずれにしても韓国では思わぬ形で話題となった藤澤五月とパク・ボヨン。
2018年2月には一般紙『文化日報』などが、「藤澤五月、パク・ボヨンとどれだけ似ているか?比較してみたら“ソルム”(=鳥肌モノという表現を使うときの造語)」という記事まで配信していたほど。
さて、今回の北京五輪では藤澤五月にまつわるどんな記事が出回るか。注目したい。
文=慎 武宏
*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
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