ソウルの駐韓日本大使館前では、1992年から慰安婦問題解決のために毎週水曜日、「水曜デモ」が行われている。
そんな水曜デモと同じ場所で集会を開こうとする反対団体の集会優先権を保障するよう、国家人権委員会が勧告し、波紋が広がっている。
1月8日、駐韓日本大使館周辺では水曜デモが行われていたが、すぐ隣で反対派の集会参加者がプラカードを掲げている様子が確認された。
先立って1月6日、国家人権委員会の侵害救済第1委員会(キム・ヨンウォン常任委員長)は「先順位の申告者にはその場所で集会を開く自由が明確に認められている」とし、鍾路(ジョンロ)警察署長にこれまでの妨害行為を是正するよう勧告した。
国家人権委員会は「警察が便法を用いて別の場所で集会を開くよう強制し、『反日行動』など反対団体がその場所で集会を行うよう措置したことは、集会の自由を重大に侵害したものだ」と述べた。
さらに「管轄警察署長はどのような理由であれ、集会を開く自由を侵害することはできない」と強調した。
事の発端は、2023年2月にさかのぼる。
「慰安婦は詐欺だ」と主張し、慰安婦問題を否定してきた団体「慰安婦法廃止国民行動」が毎週水曜日、駐韓日本大使館前に設置された「平和の少女像」(慰安婦像)近く、つまり水曜デモが開かれる現場で集会を開くとし、先順位で申告書を提出した。
しかし警察は、この場所で水曜デモを行っている団体との衝突を懸念し、警察の人員や車両を利用して申告された場所以外で集会を行うよう促してきた。
これにより数年間、「正義記憶連帯」「平和ナビネットワーク」など水曜デモ側の団体と、「慰安婦法廃止国民行動」「オモニ部隊」などの反対団体は、少女像周辺で集会の“場所争い”を続けている。
そんななかで今回、国家人権委員会が反対団体の権利を認めたのだ。先に集会申告を行った団体の集会優先権を保障せず、警察が集会場所を分割した措置が人権侵害に当たるという指摘だった。
なお、今回の救済勧告で反対団体の主張を支持したキム・ヨンウォン常任委員長は、以前にも、保守団体による水曜デモ妨害を防いでほしいという正義記憶連帯の申立てを一方的に却下したことがあるという。
国家人権委員会の勧告について、オンライン上でも様々な意見が出ている。
まず、「この国にはまだ親日派が多い」「人権委員会は一体、誰のための人権委員会なのか」「親日勢力を一掃して国を正常化しよう」「先に申請した者がその場所を使う権利を持つことは否定できないが、歴史的事実を尊重すべき場所」などと、国家人権委員会の勧告について否定的な反応が見られた。
一方で、「(慰安婦被害者の)おばあさんたちを利用して利益を追求する狡猾な奴が多い」「先に申告したのなら、その場所で先にデモを行う権利があるのは当然だ」「非常に正常で常識的な判断。市民団体への税務調査も進めてほしい」と支持する声も寄せられた。
駐韓日本大使館周辺で繰り広げられる“場所争い”に、決着がつく日は来るのだろうか。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
■「犬にも劣る人間ではないか?」慰安婦被害者への後援金を横領した韓国の元議員、有罪確定
前へ
次へ