キャプテン・アメリカに扮して中国大使館や警察署への侵入を試みた韓国人男性が、一審での実刑判決を不服として控訴した。
6月2日、韓国の法曹関係者によると、尹錫悦（ユン・ソンニョル）前大統領の支持者として知られる40代の男性アン氏は、5月29日にソウル中央地裁刑事12単独部へ控訴状を提出したという。
アン氏は、建造物侵入未遂、公用物損壊、侮辱、私文書偽造などの罪で起訴されており、28日の一審では懲役1年6カ月の実刑判決を受けていた。
裁判所は判決理由として「被告は個人的・政治的な目的を達成するため、世間の注目を集めようと意図して犯行に及んだ」と指摘。「その結果、出動や調査にあたった警察官の職務執行を大きく妨害した」と述べた。
さらに「犯行の過程で、警察を極めて軽視する態度を公然と示しており、厳重な処罰は免れない」と断じた。
ただし一方で、「被告が犯行と責任を認め、侮辱罪の被害者には100万ウォン（約10万円）を供託し、公用物損壊についても出入口の修理費を支払った点は、情状酌量の余地がある」と付け加えた。
アン氏は今年2月14日、尹前大統領支持デモの一環として、マーベルのキャラクター「キャプテン・アメリカ」に扮した状態でソウル市内の中国大使館への侵入を試み、建造物侵入未遂の疑いで警察に拘束された。
さらに同月20日には、ソウル南大門警察署で取り調べを受けていた際、「早く調査してほしい」と訴えながら出入口のガラスを破壊し、内部への進入を試みたとして再び身柄を拘束された。
このほかにも、警察官への暴言や、偽の米軍身分証を作成・提示した事実も確認されている。
検察は4月に行われた初公判で、アン氏に懲役3年を求刑。「外国の大使館への侵入未遂や、公的機関の設備を不当な理由で破壊するなど、犯罪の重大性は高い」としたうえで、「私文書偽造・行使の内容も含め、決して軽視できない」と主張した。
また、「虚偽の主張を繰り返して捜査を混乱させており、映像記録や調書での態度を見る限り、真摯に反省しているとは言い難い」と付け加えた。
一方で、弁護人は罪状を認めつつも、「大使館への侵入は政治的メッセージをパフォーマンスとして伝える意図であり、破壊行為や人的被害を与える目的はなかった」と主張。
アン氏自身も最終陳述で「自分が犯したすべての罪を認め、被害を受けた皆さまに心からお詫び申し上げたい。社会の一員としてもう一度やり直せるよう、どうか寛大な処分をお願いしたい」と述べた。
（記事提供＝時事ジャーナル）
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