韓国が相互関税の引き下げと引き換えにアメリカに投資することになった3500億ドル(約52兆円)に関して、アメリカのハワード・ラトニック商務長官が、そこから得られる投資収益の90%をアメリカが得ると主張した。
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これに対し、キム・ヨンボム大統領室政策室長は「アメリカ側の主張は“再投資の概念”として理解される」と述べた。
ラトニック長官は7月30日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領が韓国との貿易交渉の妥結を発表した直後に、X(旧ツイッター)に「韓国はトランプ大統領の指示に従って3500億ドルを投資目的でアメリカに提供し、その収益の90%は米国民に還元される」と投稿した。
この収益配分比率は、アメリカが日本との合意でも適用した割合と同様だ。
さらにラトニック長官は、「韓国は今後3年半にわたり、アメリカから液化天然ガス(LNG)およびその他のエネルギー製品を1000億ドル(約15兆円)相当購入することにも合意した」と述べた。
また、李在明(イ・ジェミョン)大統領がトランプ大統領との会談のためホワイトハウスを訪問する際、韓国企業が大規模な対米投資を発表する予定であるとも伝えた。
他にも、韓国に対する相互関税と自動車関税が15%に設定されると明らかにした。交渉が妥結しなければ、相互関税は8月1日から25%に引き上げられる予定だった。自動車関税はすでに4月3日から25%が適用されている。
ラトニック長官は、半導体および医薬品に対するアメリカの関税課税の動きに関連して、「韓国は半導体と医薬品分野で、他のどの国よりも悪い待遇を受けることはない」と述べた。
一方、鉄鋼・アルミニウム・銅に対する関税については、「今回の合意には含まれておらず、依然として変更はない」とした。トランプ政権は6月4日から鉄鋼およびアルミニウムの輸入品に50%の関税を課しており、8月1日からは銅製の半製品および派生製品にも50%の関税を課す予定だ。
韓国大統領室は7月31日のブリーフィングで、アメリカとの合意により3500億ドル規模のファンドを設立することにしたと発表した。
このファンドには、船舶建造など1500億ドル規模の造船業協力ファンドが含まれ、半導体・原子力・二次電池・バイオなど、韓国企業が競争力を持つ分野に対する投資ファンドが2000億ドル規模で構成されるとの説明があった。
キム・ヨンボム政策室長は、「収益の90%をアメリカが得る」との内容について、戦略的曖昧性を強調した。キム室長は「その表現の正確な意味について、アメリカ側から明確な説明はなかった」とし、「アメリカ側の『収益の90%を得る』という表現については、私たちは“再投資”の概念として理解している」と語った。
さらに「内部的に法律家らと検討したが、ファンド構造や投資額が具体的に示されておらず、合理的な推論は容易ではない」と述べ、「アメリカ政府が事業を推薦し、購買を保証する構造であれば、利益が出た際にその場にとどまって韓国企業が参加するのは問題ないが、利益が出たのに90%をアメリカが持っていくというのは、通常の文明国家では理解しがたい」と指摘した。
また、「結局このファンドが組成・運用されるまでには長い時間がかかることになり、協議の段階で具体化されていくだろう」とし、「我々の利益が損なわれない方向でファンドが運用されるよう、立場を伝える機会が与えられるはずだ」と語った。
(記事提供=時事ジャーナル)
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