ネット媒体の漫画である「ウェブトゥーン(Webtoon)」が盛んな韓国で、面白いアプリが登場した。
名前は「ToryComics」。読者がウェブトゥーンを見ながらLINEのようなチャット感覚でセリフの翻訳を行えるアプリである。スマホさえあれば、誰でもウェブトゥーンの翻訳家になれるのだ。
漫画の翻訳といえば、セリフの翻訳と監修、そして元のセリフを消したり翻訳したセリフを貼り付けたりする手間がかかる。
だが、このアプリを使えばそういった手間や時間を大幅に軽減できる上に、翻訳した作品を全世界に公開することもできるそうだ。
アプリを開発した「ToryWorks」は、翻訳に参加する人々を「Tory翻訳作家」と名付け、彼らが翻訳した作品の売上を分配することを原則にしている。
正式なリリースを前に2017年9月1日から開始されたインドネシアでのテストサービスにあたって、12カ国の約150人のTory翻訳作家たちが50作品の翻訳を手掛け、連載中だ。
その中心となっているのがウェブトゥーン好きの20代女性たち。Tori翻訳作家たちは、従来の翻訳よりも面白いかつ奇抜な言葉で翻訳に取り組んでいる。
また、とりわけ翻訳が難しい擬態語や擬声語、スラングといった言葉は現在開発中の「ToryDicシステム」を使うことで、よりネイティブに近い翻訳を期待できるそうだ。
ToryWorksは、2018年3月1日までTory翻訳作家を500人まで増やし、韓国はもちろん海外の200作品を18ヶ国語に翻訳し、80カ国へ同時連載を予定しているという。
韓国有数のウェブトゥーン配信プラットフォームで人気を博した約100作品も、著作者の権利と利益を最大限に保護する「非独占契約」に基づいて連載準備中だ。
さらにToryComicsのリリースに先駆けて、11月末には日本の放送局と映画制作会社および韓国の大手映画配給会社Showboxなどが主管する「第1回日韓共同ウェブトゥーン公募展」を実施する予定だとか。
入賞したウェブトゥーン作家は、製作会社StoryCompanyとともに制作費1000万円規模の作品を制作・配信するチャンスが与えられる。
「新しい翻訳システムと世界各国の翻訳作家、そして非独占契約による作品をもとに、3年以内にユーザー1億人突破のグローバルサービスにしたい」との抱負を述べるのは、ペ・スホToryWorks代表。
ウェブトゥーンが新たな韓流文化として定着する日も近いかもしれない。
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