「正義が消えた」元慰安婦への寄付金を横領した韓国元議員、有罪確定も“実効性のある処罰”は皆無のワケ

2024年11月15日 社会
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慰安婦被害者への寄付金を横領した容疑で起訴されたユン・ミヒャン元議員に、起訴から4年余りの時を経て有罪という結論が下された。

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かつて慰安婦支援団体「正義記憶連帯」の理事長を務めた人物が、慰安婦被害者の後援金を横領していたということで非常に悪質で、批判の声が続いている。

ただ彼女の悪事とは別の問題も注目されている。

最高裁は11月14日、韓国最高裁2部(キム・サンファン大法官)は詐欺・業務上横領など8つの容疑で起訴されたユン元議員に対し、懲役1年6カ月、執行猶予3年を言い渡した原審判決を確定した。

懲役刑が確定した場合、国会議員は当選が無効になる。しかしユン元議員は、すでに4年の任期をすべて満たして今年5月に退任している。つまり、退任した元議員に当選無効の判決が出たことになる。

なぜ、このようなことが起きたのだろうか。

有罪だが無傷、「遅延された正義」

そもそもこの事件は、2020年5月に慰安婦被害者であるイ・ヨンス氏がユン元議員について「30年間、ハルモニ(慰安婦被害者)たちを利用してきた」と暴露したことで浮上した。

同年4月の総選挙で共に市民党の比例代表として当選していたユン元議員は、国会議員としての任期が始まる前から捜査を受けることになった。

検察は2020年9月にユン元議員を在宅起訴した。彼女が理事長を務めていた「正義記憶連帯」の後援金1億35万ウォン(約1112万円)の横領、寄付金42億ウォン(約4億6568万円)の不正な募金、補助金3億6750万ウォン(約4075万円)の不正受給などの容疑が適用された。

しかし裁判は遅々として進まなかった。

1審でユン元議員側は、検察が捜査記録を公開せず、弁護権が侵害されたと主張。検察側は必要な部分はすべて閲覧・コピーを許可したと反論した。

ユン元議員側の要求を裁判所が認め、裁判が延期され、また予期しない理由で裁判長が交代する突発的な状況も重なった。初めての正式裁判が開かれたのは、起訴から11カ月後の2021年8月だ。

さらに、ようやく始まった1審では、39回もの裁判が開かれた。1審合議部の刑事事件における平均公判回数が3.66回ということを踏まえると、その異常性が伝わってくる。

1審の判決が出たのは、起訴から2年5カ月が過ぎた2023年2月だった。裁判部は、一部の業務上横領容疑(約1700万ウォン分)のみを有罪と認め、罰金1500万ウォンが言い渡された。

しかし2023年9月の2審では、横領額(約8000万ウォン)を含む有罪範囲が大幅に拡大され、慰安婦被害者キム・ボクドン氏の弔慰金名目で1億2967万ウォンを個人口座で集め、他の用途に使用した容疑なども有罪と判断され、懲役1年6カ月、執行猶予3年に刑が引き上げられた。

ユン・ミヒャン元議員
(写真=ユン・ミヒャン元議員Facebook)

ここから再び時間が止まる。最高裁では事件が1年2カ月間も係留されたのだ。

この間、ユン元議員は国会議員の身分で活動を続けている。韓国の国会議員は、毎月1375万ウォン(約153万円)の歳費を受け取ることができる。任期の4年間で約6億1500万ウォン(約6800万円)だ。

現役議員は任期中に禁錮以上の刑(執行猶予を含む)が確定すると議員職を失うが、彼女は裁判が遅れたことで、歳費を全額受け取ったわけだ。

ユン元議員が任期を終え、6カ月が過ぎた11月14日、ようやく有罪判決が確定した。起訴から確定まで4年2カ月も時間がかかったため、有罪判決となったものの、ユン元議員に対する実効性のある処罰には完全に失敗したといえるだろう。

これについて韓国国内では、裁判の長期化による「遅延された正義」の典型的な事例だという批判が噴出している。

オンライン上では「裁判を遅延させた判事たちをすべて追放しろ」「国会議員として受け取ったお金をすべて返させるようにしないと意味がない」「正義が消えた」「これが国か」「AI判事が必要だ」といった反応が続いた。

慰安婦被害者への寄付金を横領するだけでも破廉恥な犯罪だが、「遅延された正義」の問題まで加わり、問題の余波が広がっている。

(文=サーチコリアニュース編集部O)

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