韓国の慰安婦問題が注目を集めている。元慰安婦を支援するための寄付金の不正流用など、問題点が次々と白日の下に晒されているからだ。
まず、元慰安婦が暮らす施設「ナヌムの家」関連の疑惑を見てみよう。
8月11日、京畿道の官民調査団が驚愕の中間報告を発表した。
「ナヌムの家」を運営する社会福祉法人が、2015年から5年間で集めた寄付金88億ウォン(約8億円)の大半を不正流用していたというのだ。
調査団によれば、実際に施設の運営に使われた額は約2億ウォンにとどまった。つまり寄付金全体の2%しか、“まともに”使っていなかったわけだ。
残りの約98%は、運営法人による一般向けの療養施設の建設や土地の購入などのために蓄えられていたそうだ。
その運営法人に対しては、大学生20人余りが寄付金の返還を求める訴えを起こしており、こちらもこちらで再び新たな火種になるかもしれない。
さらに8月13日には、慰安婦を支援する市民団体「正義記憶連帯」の寄付金横領、会計不正と関連し、ユン・ミヒャン議員が検察の調査を受けた。
市民団体「正義記憶連帯」は、ソウルの日本大使館の近くで抗議集会で知られる「韓国挺身隊問題対策協議会」が前身だ。
8月13日13時半頃、被疑者の身分で出頭したユン議員は14時間に及ぶ調査を受けた。検察はユン議員を相手に、後援金を私的に有用したかどうか、建物の購入と売却家庭に違法性があったかどうかなど、これまで浮上してきた疑惑について追及したとされる。
そもそもユン議員をめぐる疑惑は、5月に浮上した。彼女が代表を務めた「正義記憶連帯」の不透明な会計処理や、集めた寄付金を別の用途に流用しているとの疑惑だった。
他でもなく元慰安婦のイ・ヨンス氏が記者会見を開き、「正義記憶連帯が支援金を被害者たちのために使わなかった」と主張したのだ。
その後、「法治主義を立て直す行動連帯」などの市民団体が、横領や業務上背任などの容疑でユン議員と正義記憶連帯を検察に告発した。
それから3カ月が経って、ようやく中心人物といえるユン議員の調査が行われたわけだ。重要人物の強度の高い調査が行われただけに、真相解明は近いと思われる。
いずれにしても韓国で慰安婦問題が大きく揺れている。この時期は毎年、韓国の市民団体などが日本に対して慰安婦問題の解決を声高に叫ぶことが通例だが、今年は例年とは違う雰囲気だ。
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