「口だけ一流のイチロー」「30年発言の厄運」。3度目の対決となった準決勝前には韓国のキム・インシク監督も、「強く出過ぎると自ら崩れてしまうものだ」と、イチローへの忠告じみた発言を口にしたほどだった。
だが、準決勝で打順を1番から3番に変えたイチローは3安打1打点と、それまでの鬱憤を晴らすかのように爆発する。キム・ヨンジュンはその変化にイチローの真骨頂を見たという。
「日本ラウンドと決勝ラウンドのイチローはまったくの別人でした。アメリカに場所を移すと試合を重ねるごとに調子を取り戻しつつあったし、何よりも韓国戦に臨む心理状態が変わっていた。何かを守ろうとする姿勢から、何かを奪おうとする“挑戦者”に変身していた。WBCのような短期決戦期間中でも彼がそこまで劇的に変化することは予想できませんでしたし、語弊を恐れずに言えば、それはまさにメジャーリーグを戦うイチロー本来の姿でもあったと思います。どこに投げても打ち返してしまう。そんなオーラが漂っていました」
キューバとの決勝でもイチローの勢いは止まらなかった。9回には3点タイムリーを記録。その勝負強さに、韓国メディアも「イチローはやはりイチローだった」と舌を巻かずにはいられなかった。
もうひとり。同じようなイチロー評を語った人物がいる。第2回大会で韓国代表のエースを務めたポン・ジュングンである。