今年の韓国プロ野球・新人ドラフトの目玉として期待された京畿商業高校のオム・ヒョンチャンがアメリカ進出を選んだ。
オム・ヒョンチャンは7月4日、韓国国内でカンザスシティ・ロイヤルズ関係者と会い入団契約を締結したという。契約金は明らかにされていない。
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契約直後、オム・ヒョンチャンは自身のSNSに、カンザスシティのユニフォームを着て契約書にサインする写真とともに、「Dreamtoreality」(夢が現実に)という一言を掲載し、夢のアメリカ進出を喜んだ。
オム・ヒョンチャンは韓国の高校球界で捕手ランキング1位とされる逸材。今年の新人ドラフトでは間違いなく1巡目で指名されたであろう大型キャッチャーだ。
今年の成績は打率0.452(62打数28安打)、3本塁打、25打点、19得点に4四球、4三振を記録した。長打力と選球眼まで兼ね備えている。強肩を生かした盗塁阻止能力も、カンザスシティから高い評価を受けたと言われている。
また、オム・ヒョンチャンの父であるオム・ジョンス京畿商業高校バッテリーコーチも、現役時代にはアトランタ・ブレーブス傘下のマイナーリーグで選手生活を送ったことがある。父子でアメリカ挑戦に踏み切ったわけだ。
それだけに期待も高まるが、オム・ヒョンチャンのように高校ナンバーワン捕手の肩書きを引っ提げて、過去にアメリカ挑戦、それも同じくカンザスシティと契約した韓国人選手がいる。
2009年、契約金60万ドルでカンザスシティと契約したシン・ジンホ(引退)がいる。シン・ジンホは高校を卒業してアメリカの舞台をノックしたが、1Aレベルでしかプレー出来なかった。マイナーリーグ通算240試合で打率0.270(815打数169安打)、14本塁打、84打点、盗塁阻止率21%の記録だけを残した。
アメリカ生活を終えたあと、2年のブランクなどの紆余曲折の末、2017年のKBO新人ドラフトに参加し、NCダイノスから指名を受けたが、NCダイノス入団当時、シン・ジンホは『OSEN』とのインタビューで、「マイナーリーグは成長しにくい環境だ」と告白したことがある。
「私が韓国で最初にすべきことは捕手を再び学び直すことだ。アメリカではコミュニケーションや言葉、文化を学んだが、技術的には学べなかった。自分がまだプロ野球捕手とは感じない」
指導者が不足しているマイナーリーグのシステムでは、選手自らが悟り、成長しなければならない。その環境に適応できなかったことを後悔し、残念な気持ちを表現したのだ。
結局、シン・ジンホは韓国でも負傷に苦しみ、これといった活躍ができなかった。1軍で29試合出場、打率0.147(34打数5安打)1打点の記録だけを残した。2020年シーズンを控えて投手転向でのキャリア続行を試みたが、1年足らずで放出され引退した。
ただ、メジャーリーグ進出という夢のために、あえて茨の道を選んだオム・ヒョンチャンだ。父親の経験もあるため、シン・ジンホとは異なりマイナーリーグでの生活にも早く適応する可能性もある。
捕手はコミュニケーションが重要なポジションであるだけに英語を早く習得することが先決だが、現在のルーキーリーグにはチン・ウヨン投手など韓国人選手もいる。アメリカ適応に肯定的な要素は多い。
先輩たちの轍を踏まず、アメリカで成功することを期待したい。
(記事提供=OSEN)
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