日本には簡単に審査がおりてお金を借りられる消費者金融サービスが少なくない。それは韓国も同じなのだが、近年、消費者金融を利用して“自己破産”してしまう韓国人が増えているという。
韓国では、2009年からの5年間で申請された自己破産の件数が38万4000件に。個人再生の申請受付数も、5年間で2倍近くも増えた。
返すアテもないのに借金を重ねて自己破産するのは、自業自得ともいえるわけだが、なぜか韓国では借りた本人と同じくらい、貸金業者に非難の声が殺到する。
とにかく貸金業者のイメージが悪いのだ。
貸金業者のイメージが強いJトラストグループの企業CMに出演した人気女優コ・ソヨンが、「悪徳業者の片棒を担ぐなんて失望した」などと叩かれてCMを降板する事態が起こったほどなのである。
そのJトラストグループをはじめ、韓国の貸金業界で大手を振るっているのが“日系企業”というところにも不満の種がありそうだ。
日系企業と呼ばれているアフロファイナンシャル、三和マネー、ミズサラン、KJIの大手4社の資産総額は、2014年上半期基準で4兆2836億ウォン(約4300億円)。この金額は、韓国貸金業界の42.4%を占めるという。
それを知っているからか、インターネット上でも「日系貸金業者が悪い」「日系企業を追い出せ」「庶民を苦しめる日系企業を通じて金が海外に流れているのに、政府はむしろ奨励している」「悪質な保証人制度は禁止しろ。日系貸金業者が国家の根幹を揺らしている」といったコメントが相次いだ。
それらの指摘が正しいかどうかは定かではないが、実際に韓国では借金苦から抜け出せない若者と女性が増加している。
2015年11月9日に韓国金融監督院が国会議員に提出した資料「年齢別、性別、貸金業者の貸出推移」によると、29歳以下への貸金額は2012年末の8800億ウォン(約880億円)から、2014年末は9454億ウォン(約950億円)に増加した。
特に2014年に自己破産を申請した20代は6000人を超え、前年2013年に比べて9.4%も増加している。
また、「ミズサラン」など女性をターゲットにした貸金業者も増えており、女性の利用率は2012年の41.8%から2015年上半期50.1%に上昇。女性への貸金額の急増はさらに顕著で、わずか3年間で67%も伸びている。新入社員や専業主婦は、どうしても銀行からお金を借りるのは難しい。その現実を利用して、審査の甘い貸金業者が入り込んでいるといえそうだ。
韓国金融監督院が2015年6月に発表した「2014年度下半期・貸金業実態調査結果」から、韓国の貸金業の現状を見てみよう。
同調査結果によると、貸金残高は11兆1600億ウォン(約1兆1160億円)で前年比11.4%増加。1人当たりの平均賃金額も2013年の403万ウォン(約40万円)から448万ウォン(約45万円)に増えている。
ちなみに、上限金利は2006年当時は66%だったが、そこからは低水準に推移。とはいえ現在も34.9%で、日本から見れば闇金のような金利が認められているのが現状なのだ。
貸金業者の高い金利と甘い審査によって、自己破産や借金苦が増えている韓国。再生の道はあるのだろうか。
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