高市首相発言の「報復」ではない?対日レアアース輸出規制に見る中国の「予防的けん制」《韓国専門家の見解》

2026年01月22日 政治 #時事ジャーナル
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1月初めに中国が日本を対象としてデュアルユース品目に対する輸出統制を実施したことは、東アジアの地政学と世界的な技政学(テクノ・ポリティクス)秩序の展開において、一つの分岐点として評価することができる。

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日本に対する中国の核心鉱物輸出統制は、2010年に続いて今回が2回目だ。しかしこの2つの事例は、措置を執った理由において違いがある。2010年には東シナ海の領土紛争が背景だったが、今回は日本の「再武装」と核問題が直接言及された。

領土紛争と再武装は、次元の異なる問題提起である。領土紛争は単線的であり、外交的な管理が可能だ。しかし再武装と核問題は、日本の長期的な安全保障政策と戦略的進路へと論争の範囲が拡張される。今回の対立の直接的な契機は高市早苗首相の「台湾有事発言」だったが、論争が再武装へと移ったことで、短期間での収拾は容易ではなさそうだ。

高市早苗首相
高市早苗首相(写真提供=代表撮影/ロイター/アフロ)

今回の中国の措置を理解するためには、希土類(レアアース)という特定の資源を使ったという事実そのものよりも、中国がなぜこの時点で、どのような論理でこの手段を選んだのかに注目する必要がある。

本稿は、中国の対日希土類輸出統制を報復ではなく戦略軌道管理という観点から分析し、このような手段選択が東北アジア秩序の中で日本と韓国、そして中国の位置にどのような戦略的含意を持つのかを考察する。

高市首相の「台湾有事発言」が引き金となった中国の希土類輸出統制

昨年11月7日、高市首相は衆議院での答弁で、中国が台湾に武力を行使した場合、それは日本にとって「存立危機事態」になり得ると述べた。

2015年に整備された安保法制は、憲法第9条を再解釈して、いわゆる存立危機事態において日本が限定的な集団的自衛権を行使できるようにし、これにより台湾有事の際、日本の自衛隊が同盟国支援を含む軍事活動に乗り出すことができる法的通路が整えられた。

高市首相の発言が単なる状況仮定を超え、日本の安保態勢を台湾有事と制度的に結びつける意味を持つのはこのためである。中国が台湾問題を核心的な主権問題と規定してきた点を考えれば、これは中国の戦略的感受線を刺激する信号として解釈され得る。

中国の視点からは、戦後日本の軍事力に課されてきた制約が段階的に解除されつつあるという認識を強める契機となり、長期的には日本の軍事的役割拡大の可能性を再計算させる要因となった。

中国が輸出統制カードを切った真の理由。軍事大国を狙う日本の「再武装」

2カ月後の今年1月6日、中国商務部は日本を特定して、デュアルユース品目に対する輸出統制強化措置を発表した。

軍事目的の最終使用者と用途、そして軍事力強化に転用され得るすべての品目の輸出を禁止し、再輸出や第三者移転まで責任範囲を拡大する包括的な執行体系を構築した。これは単なる行政措置というよりも、今後の執行余地を広げておこうとする制度的装置に近い。

決定的な展開はその2日後に現れた。中国商務部の報道官・何亜東は1月8日の記者会見で、今回の措置の目的が日本の再武装と核保有の可能性を事前に遮断することにあると明らかにした。中国はこの発言を通じて、輸出統制を経済問題ではなく、安全保障問題の延長線上に明確に位置づけた。

中国外交部も毛寧報道官を通じてこの立場を補強した。外交部は当該措置が「完全に合法的で正当な措置」だと強調し、日本が問題の根源を省みるべきだと促した。「核保有」という表現は用いなかったが、「拡散防止」という用語を通じて同じ文脈の懸念を示した。輸出統制を執行する商務部が実質的な安全保障論理を提示し、外交部が政治的責任と外交的メッセージ管理を担うという形で、両省が役割分担を行いながら一貫した叙述を構成した。

「報復」から「戦略軌道管理」へ

中国が日本の再武装と核問題を言及したことで、今回の事案の性格は変わった。当初は、日本の政治的発言に対して中国が経済的手段で対応する典型的な報復事例に見える可能性があった。しかし、中国が選択した言語と制度的装置は、この事案を短期的報復ではなく、戦略的管理の問題として再構成した。

つまり、事案の本質が特定発言への懲罰を超え、日本軍事力の長期的軌道に対する懸念へと移動したのである。輸出統制は過去の行動を処罰する手段ではなく、未来の能力蓄積と転換可能性を事前に調整する予防的装置となった。「高市首相が何を言ったか」ではなく、「日本が今後どのような戦略的位置へ移動し得るのか」という問題へと変わったのだ。

輸出統制という政策手段は、この目的追求に特に適している。供給網の上流で作動し、最終使用者と使用目的をどのように定義するかによって比較的柔軟に強度を調整でき、法的論理を通じて長期間維持することも可能である。

先端素材、精密化学、半導体装備のように、民間技術と軍事能力が深く結びついた技政学環境においては、投入要素に対する統制がそのまま未来の戦略的潜在力を管理する方式へとつながる。

「アップストリーム強国」日本の強みと制約

日本はグローバル供給網において代表的なアップストリーム強国である。半導体製造装置、先端素材・化学、精密部品分野で、民間と軍事用技術を包含する支配的地位を占め、世界の生産構造において相当な影響力を行使してきた。この点は中国もよく認識している日本の構造的強みである。

しかし日本は、アメリカへの同盟依存と規範的制約のため、こうした技術・産業上の優位を地政学的レバーへと転換するには限界がある。もちろん、日本は素材・部品・装備分野で占めるアップストリームのボトルネック(チョークポイント)を活用し、輸出審査強化などによって中国の先端産業を圧迫することもできる。

だが、そのような対応は対立を急激に増幅させ、周辺国に副次的被害をもたらす可能性が高い。互いの弱点を狙った対決がどのような結果を招くのかも、容易には予測できない。完全な戦略的自律性を確保することが難しいという現実も、日本の構造的制約として残っている。

結果として、日本の選択肢は報復よりも遮断と緩衝、すなわち多角化と余剰能力の確保、信頼できるパートナーとの協力、パックス・シリカ(Pax Silica/アメリカ主導のAI・半導体供給網同盟体)、そしてG7内での輸出統制調整といった集団的枠組みに収斂する傾向を見せている。

中国はいつ希土類を“武器”として使うのか

中国が希土類を直接的な政策手段として用いるハードルは比較的高いとみられる。第一に、相手国の技術・産業体制全般に希土類が深く浸透しており、代替手段や対応余地が限定されていなければならない。第二に、中国は相手が現在または将来の戦略的脅威と認識される場合にのみ、このカードを切る傾向を示してきた。

これまで中国が希土類を政策的に活用した代表的事例は、アメリカと日本である。アメリカは希土類輸入の相当部分を中国に依存してきたし、日本も2010年以降依存度を下げようと努力してきたが、依然として一定水準の構造的依存を維持している。

中国はアメリカを現在の戦略的競争相手と見る。日本は歴史的文脈と潜在的軍事力に照らして、未来の戦略的変数として認識される。ドイツ、台湾、韓国も中国の希土類供給網に構造的に露出しているが、中国はこれらを戦略的脅威とは見なしていない。

韓国の位置設定と技政学的回避戦略

こうした文脈で、李在明(イ・ジェミョン)大統領が中国に続いて日本を訪問した日程は、技政学的にも小さくない意味を持つ。これは韓国が、技政学時代の東北アジアにおいて圧迫の焦点にならないよう、外交的な位置設定を試みていることを示している。

李大統領は中国を先に訪問することで、中日対立を陣営対決として見ていないことを示唆した。続いて日本を訪問することで、中国との安定追求が日本との協力縮小を意味しないことを示した。中日双方に対して民生を強調し、未来志向の安定に対話の焦点を合わせた。

単なる外交的修辞ではなく、自身の戦略軌道を安定化の方向に明示しようとする積極的意思を反映しているとみられる。韓国は競争の軸ではなく、調整と連続性の空間に自らを位置づけることで、予防的圧迫の対象にならないという戦略だと見ることができる。

技政学の時代に権力が作動する方式

中国の対日希土類輸出統制は、技政学時代において権力が事後的報復ではなく、未来の戦略的軌道を事前に管理する方式で行使されていることを示している。

日本の露出、中国の権力行使方式の変化、そして安定化に基づく韓国の位置設定は、権力が過去の行為ではなく未来の可能性を基準に、より上流で、より先制的に作動する世界を示している。

そして今回、中国が希土類輸出統制カードを切ったことは、その分岐点がすでに現在進行形で私たちの前に迫っていることを意味する。

●チョ・バンジェ元国立外交院長

(記事提供=時事ジャーナル)

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