日韓関係において、サッカーは韓国が優越感と自尊心を感じることができる数少ない分野の一つだった。
韓国建国後、初のスポーツ交流は1954年FIFA(国際サッカー連盟)スイス・ワールドカップのアジア地域予選として行われた日韓戦だった。日本の選手たちが韓国の地を踏むことを許せないという李承晩(イ・スンマン)大統領の強硬な態度により、第1戦と第2戦の両方を日本で戦った韓国は、第1戦で5対1の大勝、第2戦は2対2の引き分けで初のワールドカップ本大会進出を果たした。
気質的な特性と、日本には負けないという闘争心が相まって、長らく日韓戦で優位を保ってきた韓国サッカーだが、1990年代に入り状況が変化する。欧州のシステムと南米の優れた選手たちを積極的に受け入れた日本サッカーが急成長したのだ。この頃から両国は、互いに先んじたり後れを取ったりする本格的な競争の時代に突入した。
しかし最近では、日本側に徐々に重心が傾く雰囲気だ。直近の2大会のワールドカップでは、いずれも日本が韓国よりも好成績を収めた。
2018年ロシア・ワールドカップでは日本が16強入りし、ベルギーとの接戦の末、2対3で惜敗した。一方、韓国はグループリーグで2敗後、ディフェンディングチャンピオンのドイツを下す「カザンの奇跡」に沸いたが、16強進出には失敗した。
2022年カタール・ワールドカップでは、両国が揃って16強に進出したが、評価では日本が一歩上だった。日本はグループリーグでドイツとスペインを破り、16強でもクロアチアとPK戦までもつれる接戦の末に敗れて最終9位だった。
韓国はグループリーグでポルトガルを下して劇的に16強入りしたが、16強ではブラジルに1対4で完敗し、最終16位だった。
2026年の北中米ワールドカップに向かう過程でも、日本は韓国より一歩先を行っている。日本は3月20日、ホームでバーレーンを下し、アジア最終予選グループリーグ第7戦終了時点で本大会出場を確定させた。共同開催国(米国・カナダ・メキシコ)を除き、世界で初めて本大会進出を決めた国となった。
一方、韓国は3月のホーム2試合でふがいない引き分けを続け、6月に本大会出場をかける状態となっている。
成績以外でもさまざまな評価で日本は韓国を上回っている。移籍情報専門サイト『トランスファーマルクト』が発表した各国代表チームのスカッド価値評価で、韓国はアジアサッカー連盟(AFC)内で全体2位だった。1位は当然ながら日本である。
もちろん、両国ともイランやウズベキスタンなど他のアジア諸国よりは圧倒的に上位である。スカッドの価値を金額で換算するこの評価では、欧州組をはじめとする海外組が多いほど有利な構造である。
だが問題なのは、1位の日本と2位の韓国との間に2倍以上の格差が開き始めている点である。日本は2億8,290万ユーロ(約4,475億ウォン)、韓国は1億2,210万ユーロ(約1,931億ウォン)。韓国代表の価値は昨年末より3,000万ユーロ近く下落した一方で、日本は微増した。
主力選手たちの価値において、韓国はソン・フンミンなど一部選手の高齢化が影響を与えたが、日本にはそのような変動要因がほとんどなかったという話である。
これは両国のスカッドにおける質的な違いへとつながっている。ソン・フンミン、キム・ミンジェ、イ・ガンインに代表される一部選手のパワーランキングでは韓国が日本に劣っていない。むしろアジアのトップ5だけで見ると、キム・ミンジェが1位、ソン・フンミンが3位である。
しかし全体的な分布で韓国は日本に劣るのだ。日本はイングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスという五大リーグでプレーする選手が15人いる。ポルトガル、オランダ、ベルギー、トルコ、スコットランドでプレーする選手を含めると、欧州リーグでプレーする選手はなんと69人に達する。同じ基準で韓国は五大リーグ所属が9人、欧州トップ10リーグ所属の選手は16人だ。代表チームに動員できる選手層の差が明白なのだ。
兵役という現実的課題の有無、それによる欧州進出への意欲の差がこのような状況を生んだという指摘は一理ある。
しかし韓国では今なお一部の選手が金を追って中東や中国へ向かおうとする傾向がある。対照的に日本は、すぐにビッグリーグに行けなくても辺境リーグを経て中心へ進出するという強い挑戦精神を見せている。本田圭佑(オランダ→ロシア→イタリア)が築いた成功事例に従う選手が多い。
将来世代でも同様の現象が見られる。若い才能の数は韓国も引けを取らないが、日本は10代半ばから積極的に欧州行きを模索している。
韓国では昨年、江原(カンウォン)FCで活躍した2006年生まれのヤン・ミンヒョクがトッテナムに入団(すぐにQPRへレンタル移籍)したことが話題になったが、日本ではそれより1歳若い2007年生まれの高岡伶颯が昨夏、イングランド・プレミアリーグへ昇格したサウサンプトンへの入団を決めた。満18歳となる3月にサウサンプトンへ合流する高岡は、2023年に開催された17歳以下ワールドカップのグループリーグで4ゴールを挙げ、大きな話題を呼んだ。
3月に招集された日本の20歳以下代表チームの名簿を見ると、高岡のほかにも5人の選手がベルギー、オランダ、スウェーデンでプレーしている。
自然と年代別代表チームで日韓両国の格差が顕著になっている。韓国は最近、日本を相手に苦戦を続けている。
17歳以下代表チームは最近日本に4連敗している。スコアも3点差負けが3回、4点差負けが1回である。14歳以下代表チームは昨年11月に行われた交流戦で1対6の完敗を喫した。成人カテゴリーに分類される20歳以下代表チームからは、試合方式に変化を加えてできるだけ負けない状況を作っているが、技術で勝負する低年齢層では差が深刻である。
プロサッカーでも状況は同じだ。AFCチャンピオンズリーグ・エリートでは、韓国は光州(クァンジュ)FCのみが4位でグループリーグを突破した一方で、日本は横浜F・マリノス(1位)、川崎フロンターレ(2位)、ヴィッセル神戸(5位)が16強に進出した。光州と共に出場した浦項(ポハン)スティーラーズ、蔚山(ウルサン)HDは東南アジアや中国勢に押されて脱落した。
このような差は、最終的には両国サッカーを導く行政力の差に起因している。日本はアジアを超える競争力を早くから目標にしていた。昨年、日本サッカー協会の会長に就任した1977年生まれの宮本恒靖会長は、「我々の目標はワールドカップ優勝」と明言した。それに向けて日本は、従来のパスや技術中心のサッカースタイルを、強い1対1の能力へと進化させた。欧州組を支援し、年代別代表チームの継続的な欧州遠征を推進するため、ドイツにJFA欧州事務局を設置するなど、先を行く行政力を発揮した。
一方、韓国では原則無視などで論争が絶えないチョン・モンギュ会長が最近4選に成功した状態だが、チョン会長はパラダイムの変化よりも、自身がこれまで推進してきた目標を繰り返すばかりで、もどかしい歩みを続けている。
国際大会の誘致、サッカー総合センターの建設などだ。韓国サッカー全体が意識変化によって脱皮するモメンタムを持てないという指摘が続いているが、期待に応えるだけの大胆な変化は見られない。
最近、現役選手生活を終えたク・ジャチョルは、サッカー行政家への転身を準備しながら痛烈な一言を残した。
「私が初めてサッカーを始めたとき、日韓両国のサッカーに対する体感は今とは違っていた。今は差があまりにも開いてしまった。もはや韓国は日本の比較対象にもならない。その責任と時間を誰が償うのか。我々が目を覚まし、変化を受け入れなければならない。変化を恐れれば、次の世代にさらに大きな苦痛を与えることになる」
(記事提供=時事ジャーナル)
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