鳥インフルエンザが、韓国でも猛威を振るっている。これまで殺処分された鶏は2700万羽以上に上り、その影響を受けて、全国的に卵の供給不足が深刻化している。
大型スーパーでは、卵の価格が最大13%ほど高騰したことに加え、「1人1パック」などと購入数を制限。にもかかわらず、不安に駆られた市民による“爆買い”の兆候も表れつつある。
韓国メディア『アジア経済』によると、飲食業界では「卵の大乱」が起きているという。定食屋・居酒屋などでは、単品メニューの玉子焼きや目玉焼きが500ウォン(約50円)から4倍の2,000ウォン(約200円)に高騰。店によっては「卵の供給不足が10カ月先まで続く見通し」と業者から耳打ちされ、卵料理をメニューから外したところもあるそうだ。
そんな中、最も打撃を受けているのはパン業界だろう。
とある大手パン製造業者は、卵の仕入れ困難により、従業員が手分けして1~2パックずつ卵を買ってきているという。
「うちの工場だけで一日60~70トン以上使われる主食材だけに、従業員の努力だけでは全然足りない」と関係者は話すが、「このままでは、日本から卵パウダーを輸入するしか方法がない」という声も上がっているようだ。
鳥インフルが影響を及ぼしているのは、卵だけではない。卵の価格高騰に対し、鶏肉の価格は急落。ここ数年、政府が「75度以上の熱で5分間加熱すれば、鳥インフル感染の心配はない」という情報をアナウンスし続けているが、鶏肉の摂取を避けようとする人も少なくない。
鶏肉業界の関係者によると「まだ売り上げに大きな打撃は見られない。ただ、今年の鳥インフル被害がかなり深刻なため、10年前に作った『万が一、鶏肉を食べて鳥インフルに感染したら、最大20億ウォン(約2億円)の賠償を行います』という広告を 、あらためて展開しようか迷っている」そうだ。
このような事態を受け、ネット上では「一人暮らしの定番だった卵かけご飯や目玉焼きも、貴族料理に……」「これじゃあ、政治家に卵も投げられないじゃん」「ビールと一緒にチキンを食べられないなんて、つらすぎる」などといったコメントが寄せられている。
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