日本の雑誌業界の休刊ラッシュが止まらないらしい。なんでも2015年度は177誌が休刊したらしいが、雑誌不況が続くのはお隣・韓国も変わらない。
昨年12月には女性ファッション誌『ボーグ・ガール』が休刊し、韓国発のIT専門誌『マイクロソフトウェア』が創刊32年目にして休刊した(その後、『朝鮮ビズ』が買収)。今年4月には大手新聞社『京郷新聞』が発刊し、創刊34年の歴史を誇る『レディ京郷』がその歴史に幕を下している。韓国でも雑誌不況は深刻なのだ。
もっとも、そんな中でも元気な雑誌もある。
男性誌『MAIXM KOREA』がそのひとつだ。アメリカの男性誌『MAXIM』の韓国版で、20~30代の男性をターゲットにファッション、恋愛、ビジネス、ライフスタイルなどを扱う雑誌だが、業界が出版不況に喘ぐ中、完売することも少なくない。
有名なのは韓国の人気女子アナウンサー、チョン・イニョンが表紙を飾った2014年1月号だ。発売と同時に大型書店はもちろん、インターネット書店でも品切れとなり、チョン・イニョンは“表紙雑誌完売伝説”とも呼ばれるようになった。
この例もわかる通り、『MAXIM KOREA』はタレントや著名人たちの表紙やカバーグラビアが売りで、そのグラビアがニュースになることも多い。
最近では、釜山映画祭レッドカーペット・セレモニーでのドレス姿で一躍話題になった女優オ・インヘのグラビアが大きな話題にもなった。
韓国には日本のように写真週刊誌がなく、アイドルやタレントたちの巻頭グラビアを売りにする青年誌もないだけに、その役割を一身に背負っている『MAXIM KOREA』は韓国の20~30代男性たちの間で人気が高い。
そんなこともあって、「マッスル美女ブーム」の火付け役となった「奇跡のDカップ女神」ユ・スンオク、“韓国人気NO.1チアドル”のパク・キリャン、韓国はもちろん、香港、台湾、シンガポールなどのアジア各国で活躍している DJソダなども積極的にグラビア特集に登場してきた。7月号では美肌ティラピストでこの夏、人気絶頂のヤン・ジョンウォンが表紙を飾っている。
そんなネームバリューの強さもあって、男性誌のひとつに過ぎないにもかかわらず、今年5月には『MAXIM K-Model Awards』なるイベントも開催したほど。前出の美女たちが集結したイベントは、当然、メディアでも大きく取り上げられた。
もっとも、『MAIXM KOREA』はその挑戦的な取り組みが仇になったことも。2015年9月号の表紙は、「史上最悪の表紙のアイデア」と酷評されて回収騒ぎにもなった前例もある。
そのときはイギリスやアメリカのメディアからも「社会に及ぼす悪影響を考慮してほしい」と指摘された最終的に全品回収で事態は収拾したが、ここまで話題になる男性誌は世界的にも珍しい。
興味深いのは、その『MAXIM KOREA』で日本の女優、アイドル、グラドルたちも大きく取り上げられていることだ。
篠崎愛が表紙を飾った2016年2月号などは、予約分だけで発売前日に品切れになり、その異例事態は韓国メディアで、「日本の“セクシーアイコン”篠崎愛、MAXIM2月号の“品切れ女”に」「買いたくても買えない篠崎愛のMAXIM表紙号」と報じられたほどだった。
当時のことを『MAIXM KOREA』編集部関係者に聞いたことがあるが、なんでも篠崎愛が表紙を飾った号は、「日本からも雑誌を購入したいという連絡が殺到した」らしい。
そうしたこともあって編集部では、日本での流通もできるか検討したというのだから面白い。雑誌不況の日本にあえて乗り込んで来るほど無謀ではなかったようだが、勢いがある雑誌だけにその挑戦的な姿勢はさすがだ。
昨今の雑誌不況の煽りを受けて、日本ではグラドルたちの活躍の場も少なくなっていると聞くだけに、いっそのこと韓国に進出してみるのもいいかもしれない。篠崎愛の前例があるだけに、きっと『MAXIM KOREA』編集部もウェルカムだと思うのだが。
文=慎 武宏
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