「精神医療機関などの責任者は、精神疾患者の保護義務者2人の同意(保護義務者が1人の場合は1人の同意とする)があり、精神健康医学科専門医が入院の必要があると判断した場合に限り、当該精神疾患者を入院させることができる」
これは、韓国の精神保健法第24条の一文。精神病院への“強制入院”を容易にする条項と指摘されており、現在、憲法裁判所で違憲審判の対象となっている。
そんななか国家人権委員会は6月24日、とある国立精神病院の院長を検察に告発した。
その国立精神病院では、退院させるべき患者を170日間も不法入院させていたのだ。 国家人権委員会の調査結果を見てみよう。患者のクォン氏は2015年4月18日、精神病院に入院して3カ月後の7月7日に退院した
しかしその日のうちに国立病院に移送されて再入院となっている。退院したのは、今年4月4日だ。クォン氏は精神病院でほぼ1年間、入院生活を過ごしたことになる。
問題は、クォン氏が入院して6カ月が過ぎた以降から、まったく法的手続きが守られていなかったことだ。
精神保健法第24条は「入院などの期間は6カ月以内とする」と規定しており、それ以降も治療が必要な場合は、専門医の診断や保護義務者の同意などが必要となる。しかし国立病院の院長は、クォン氏の最初の入院日である昨年4月18日から6カ月が過ぎる前の10月17日まで、継続入院治療審査の請求と決定を終えていなかったという。
国家人権委員会は最高裁の判決を踏まえて、「6カ月が過ぎても継続入院資料審査の手続きを終えられなかった場合、入院中の患者をすぐに退院させる必要がある。これを破ることは、違法な監禁行為であり、不法行為が成立する。クォン氏は170日余りも不法に監禁されたと言える」と指摘した。
また、「この期間、同じような不当事例について計6回勧告し、そのうち2件を検察に告発した。韓国福祉部に改善策を要請したが、不法行為は根絶されなかった」とも付け加えている。
韓国の精神病院への“強制入院”問題は、一筋縄では解決できなそうだ。
前へ
次へ