“不倫共和国”になりつつある!? 姦通罪廃止から3年、韓国社会に現れた変化とは

2017年02月18日 社会
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かつて韓国では、配偶者がいる者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つ場合、「姦通罪」という犯罪として2年以下の懲役に処されていた。ところが2015年2月、韓国憲法裁判所は姦通罪が「国民の性的自己決定権とプライバシーの秘密自由を侵害するため、憲法違反だ」と決定。1953年の制定から62年ぶりに姦通罪を廃止することとなり、社会には大きな動揺が広がった。

その姦通罪廃止から3年。「もう不倫し放題」と喜ぶ者と、「世も末だ」と嘆く者が共存するなか、韓国社会にはどのような変化が起きているのか。

最も大きな変化は「住居侵入罪」の増加だ。その家の住人に招かれたとはいえ、共同住居権者である他の家族の許可を得なければ住居侵入罪に当たるという判例に従い、配偶者の不倫相手を住居侵入罪で訴えるケースが増えたのだ。

『聯合ニュース』によると、韓国では不倫相手を家に招くケースが多いという。意外にもそのほうが心理的に落ち着くと感じるそうだ。しかも、住居侵入罪が認められたとしても100~200万ウォン(約10~20万円)程度の罰金を科せられるのが関の山。被害者の立場からすれば腑に落ちないかもしれないが、今のところ姦通罪に代わる最大の処罰にほかならない。

また、私立探偵の需要も増えた。

某私立探偵養成所によると、不倫関係の証拠集めや事実確認の依頼が以前より2~3倍ほど増えたという。そもそも韓国では私立探偵が個人の情報を収集したり、尾行したりするのは違法で、探偵の存在すら知らない人が多い。ただ、姦通罪が廃止された今、不倫の被害者にとっては私立探偵が“最後の砦”なのだ。一角では「国家公認の探偵を許容すべき」という声も出ている。

それから、既婚者のための出会い系サイトも盛んになった。もう取り締まりを受けることもなく、合法的な運営・利用が可能になったからだ。これからも、不倫を助長するビジネスは横行するだろう。

配偶者の不倫を目撃しても刑事告発できず、不倫の当事者は罪の意識が薄れていく韓国。「不倫共和国」の汚名を被る前に、また新たな改善策が必要ではないだろうか。

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