売春婦1000人のデモ!!「性売買特別法」施行11年で高まる“合法化”の機運

2016年02月22日 社会
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性売買を行った者は、買春した者、された者を問わず処罰する――。そう規定した韓国の「性売買特別法」は、2015年9月に施行11周年を迎えた。

ちょうどその頃、ソウルでは同法の廃止を要求するデモが開かれており、1000人余りの売春婦たちが参加。「少数の弱者である性労働者たちの人権と生存を脅かす悪法・性売買特別法の廃止を希望する」などと書かれた決議文を発表し、自発的な性売買の合法化を求めた。

ここ数年、“性売買の合法化”は韓国でホットなイシューだ。

売春婦にとって性売買は、生活のための“仕事”。それを違法とすることは、職業選択の自由を侵害することにもつながり、違憲性があるとも見れる。

また、厳しい取り締まりによって、性売買がより隠密化したとの指摘も尽きない。例えば、ルームサロン(ホステス付きの個室クラブ)などの売春行為の温床となっている“飲み屋”は、2004年当時3万軒にすぎなかったが、現在は4万5000軒と1.5倍に増加。世代を問わず、フィリピンなどに買春ツアーで訪れるヤカラも続出しており、二次的な問題も多発しているのが現状だ。

“公娼制度”の議論も

去る2015年4月には憲法裁判所で公開弁論が開かれ、“公娼制度”についての必要性も議論されている。

公娼制度とは、性売買を国家が認め、関連産業を管理する制度のこと。成人が指定された場所で自ら性売買を行った場合、処罰しないという、いわば性売買の合法化だ。韓国では日本統治時代である1916年に公娼制度が導入されていたが、終戦後の1948年に廃止。それが現代になって、復活の機運が高まっているわけだ。

とはいえ、性売買特別法が廃止されるとなると、やはり社会秩序が大きく乱れるという側面も見逃せない。罰する法律が廃止され、「裁かれない」となると、そこに新たなビジネスチャンスを見つける人々も少なくないのだ。

事実、韓国では2015年2月に姦通罪が廃止されたが、その結果として近年、“不倫産業”が流行しているという。

既婚者たちの出会いをあっせんするソーシャルデート業者の数は200を超えており、性売買の窓口として活用されているというのだ。韓国版「アシュレイ・マディソン」を自称するサイトも登場し、その市場規模は500億ウォン(約50億円)に達するほどの急成長を見せている。

「不倫」であればまだ既婚者に限定される話だが、さらに対象が幅広い性売買特別法が廃止されるとなれば、その影響力の大きさは想像に難くない。

それでも、生活のかかった売春婦たちの声は懸命だ。

前出の売春婦デモの参加者らは、世界に700万人の会員や支持者のいる国際人権団体アムネスティが、性売買を合法化すべきだとする決議を発表したことを例に挙げながら、「なぜ、性労働者は労働者として認められないのか!」と強く訴えている。

性売買を厳しく取り締まる特別法が施行されてから11年。まだまだ議論は尽きそうにない。

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