韓国の地下鉄では盗撮が横行している。その事実が明らかになったのは、2015年4月のことだった。
韓国国会の国土交通委員会に属する与党セヌリ党のイ・ノグン議員がソウル市から入手した情報によると、2014年度にソウル市内を走る地下鉄内で起こった痴漢や盗撮といった性犯罪の被害者件数は1356件。ソウル市内を走る地下鉄内での性犯罪数は2012年1031件、2013年1307件と年々増加傾向にあったが、その記録をあっさりと更新してしまっていただけに韓国社会全体がショックを隠せなかった。
特に問題視されたのが盗撮。というのも、その時期がかなり悪質だったのだ。
1356件のうち、女性の下半身や胸元を隠し撮りしていた盗撮件数は631件。
とあるメディアの別の調査によると、2014年1～3月までに発生した盗撮事件は38件だったが、4～6月になると230数件に増えたという。まさに夏のソウル地下鉄内は“盗撮天国”というわけである。
しかも、盗撮という卑劣な犯行に手を染める犯人たちが、信じられない立場にあることが明るみになり、騒然となった。
ソウル警察庁の調査によると、ソウル市内の地下鉄で盗撮した加害者たちの職業別状況は、サラリーマンが437人、無職が181人、学生が181人、自営業者が37人、サービス業が28人と、サラリーマンが圧倒的に多かったが、なかには社会的にも地位が高い職種にある男性たちが盗撮をしていたのだ。
2015年5月10日には信者数9万人を超える某キリスト教団の牧師が、エスカレーターの下から女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮して現行犯逮捕。
同年5月28日にはソウルから南に約230キロ離れた地方都市・全州に暮らす30代のロースクール学生が逮捕。この学生はわざわざソウルまで上京して地下鉄内で盗撮を繰り返しており、押収したパソコンには2013年から続けていた数百枚の盗撮写真と動画が収められていたという。
“盗撮牧師”、“遠征盗撮”などのあだ名が付けられた2人がマスコミから糾弾されたのは言うまでないが、なぜソウルの地下鉄で盗撮が増えているのか。
とある女性弁護士はテレビ出演でこう言っている。
「スマートフォンやIT技術の発達もあるが、何よりも盗撮する側に罪の意識がまったくことが問題。接触しないから良いと思っているようだが、刑罰は痴漢よりも重い」
韓国には、性暴力犯罪の処罰などに関する特例法違反というものがあり、“カメラなどを利用した撮影罪”に該当する盗撮は、5年以下の懲役もしくは1000万ウォン（約100万円）の罰金に処される。
1年以下の懲役もしくは300万ウォン以下の罰金に処される痴漢罪よりも重いが、盗撮を犯す男性たちに罪の意識が希薄だというのだ。
職場や家庭のストレス解消などで盗撮に走ってしまうという分析もあるが、女性からすればたまったものではないだろう。
前出の女性弁護士も声を荒げて言っている。
「盗撮で捕まる加害者たちは初犯ではなく、その前から常習しているケースが多い。もっとも厳しい処罰を」
ちなみに、前出のイ・ノグン議員がソウル市から入手した情報によると、痴漢や盗撮などの性犯罪被害女性たちを年齢別分布は、20代（304人）、30代（330人）が多く、40代（174人）や10代（28人）はもちろん、50代（70人）、60代（31人）、70代（12人）と高齢者も多いのだから驚きだ。
韓国の性犯罪者たちは熟女好きが多いのだろうか。
1号線から9号線まである路線の中でも、2号線の舍堂（サダン）駅で最も多いとされるソウル地下鉄性犯罪。ソウルに観光に訪れる日本の女性たちも、痴漢や盗撮には十分注意が必要だろう。
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