揺れる旧統一教会、今度は創始者の墓地めぐり違法疑惑 地方自治体が調査に着手

2025年12月23日 政治 #時事ジャーナル
このエントリーをはてなブックマークに追加

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が創始者の故・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の墓地をめぐり、現行法違反の疑いで地方自治体の調査を受けていることがわかった。教団が与野党をまたぐ全方位的な政界ロビー活動疑惑で捜査線上に浮上している状況のなか、創始者に関しても新たな事件に巻き込まれた形だ。

【関連】「日本の方がマシ。少しは見習え」旧統一教会“解散命令”を羨む韓国

本サイト提携メディア『時事ジャーナル』の取材によると、加平(カピョン)郡庁は12月22日午前、京畿道加平郡天城山(キョンギド・カピョングン・チョンソンサン)に位置する本郷苑などに対し、現地調査に着手した。

本郷苑は文鮮明氏の原殿地(墓所)である。今回の現地調査は、本郷苑の面積が「葬事等に関する法律」(葬事法)第18条などに基づく基準を超えているとの内容の民願が郡庁に提起されたことを受けて実施された。文鮮明氏の死去後、本郷苑をめぐる問題が提起されたのは今回が初めてだ。

自治体は葬事法に加え、「国土の計画及び利用に関する法律」や「山地管理法」などについても、本郷苑の土地が本来の土地利用計画と異なる形で使用されている疑いがあるとして調査を進めている。調査結果は今月中にも出るとみられる。

結果次第では、問題がない場合、論争にならない可能性もある。ただ、問題が発見された場合には、事案の重大性に応じて告発措置や行政命令などが取られる可能性もある。

文鮮明氏は1954年に旧統一教会を設立した。現在の公式名称は世界平和統一家庭連合である。教団は1968年に国際勝共連合を創設し、共産主義批判など各種の反共運動を展開した。1970年からは家庭の神聖さを強調する教理を基に、大規模な合同結婚式を挙行してきた。儒教思想を基盤にキリスト教的色彩を加えるなど、独自の教理を発展させたのである。

文鮮明氏の死後、その配偶者である韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁は、「神の独生女(韓総裁を指す)、神と直接通じる存在であり再臨のメシア」という新たな教理を打ち出した。文鮮明氏が創始した旧統一教会は、1980年代以降、アメリカや日本など世界各地で勢力を拡大していった。

文鮮明、韓鶴子
左から故文鮮明氏、韓鶴子総裁(写真=時事ジャーナル)

しかし、文鮮明氏の死後は韓総裁のリーダーシップ問題、一部の子どもたちとの葛藤、教団資産をめぐる訴訟、日本での献金減少など、複合的な危機に直面しているとの評価が出ている。

とりわけ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の政教癒着疑惑をめぐる捜査は、旧統一教会を創教以来最大の危機状況へと追い込んでいる様相だ。さらに、李在明(イ・ジェミョン)政権の初代海洋水産部長官を務めた「共に民主党」チョン・ジェス議員など、与党政治家との癒着疑惑まで提起され、波紋が広がっている。

李大統領は国務会議などで「憲法と法律に違反する宗教団体は解散させるべきだ」と述べ、超強硬な立場を示してきた。こうしたなか、旧統一教会を象徴する文鮮明氏の墓地までが論争の中心に置かれることになった。

これに関連し、旧統一教会側は「郡庁側が本日調査に出たが、(民願の内容などを)改めて確認したうえで再訪することで協議した」と説明した。違法性の有無などについては、「今後の進行状況に応じて具体的な立場を出す」とした。調査を進めている加平郡庁の関係者は「民願に基づき現場を確認し、関連規定に沿って措置を取る計画だ」と伝えた。

(記事提供=時事ジャーナル)

【画像】韓国宗教団体の教祖から性的暴行被害を受けた女性

「日本の方がマシ。少しは見習え」旧統一教会“解散命令”を羨む韓国

旧統一教会創始者が夢見た「アジア帝国一体化」「日韓トンネル」構想

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research