同胞を殺害し、韓国人2人を刃物で襲った中国出身の男の初公判が行われた。被告は殺人容疑については認めたものの、殺人未遂については否認している。
7月9日、水原(スウォン)地裁安山(アンサン)支部第1刑事部(アン・ヒョスン部長判事)は、殺人および殺人未遂の容疑で拘束・起訴されたチャ・チョルナム被告の初公判を開いた。
この日、チャ被告は「耳がよく聞こえない」としてヘッドフォンを装着した状態で出廷。裁判所から「国民参与裁判(日本の裁判員制度に相当)を希望するか」と問われると、「希望しない」と答えた。
弁護人は、起訴された内容のうち殺人については「事実を認め、反省している」としつつ、殺人未遂については「殺意はなかった」**と主張した。
チャ被告は、被害者の1人であるコンビニ店主に関して、「その店主には『家主と組んで、なぜ私を追い出そうとするのか』と話しながら刃物を振り回しただけだ。もし殺意があったなら、もっと刺すこともできたはず。『覚えておけ』という意味で振るっただけで、犯行後には“すぐ病院に行ってください”とも言った」
と述べた。
この日の審理は、殺意の有無と証拠に関する議論を次回に持ち越して終了。裁判所は「次回の期日で、殺人における故意の成否と証拠について審理を行う」と説明した。
第2回公判は8月11日に開かれる予定だ。
チャ被告は今年5月17日午後4~5時頃、京畿道(キョンギド)始興市(シフンシ)にある自身の住居および、近隣に住む50代の同胞兄弟の家で、それぞれを鈍器で殺害した疑いが持たれている。
さらに2日後の5月19日午前9時34分頃には、自宅近くのコンビニで60代の女性店主を襲撃し、午後1時21分頃にはその場所から約1.3km離れた公園で70代の家主を刃物で襲い負傷させたとされる。
警察の調べによると、チャ被告は犯行の約6カ月前から凶器を自作していたことも判明している。
2012年にF-4(在外同胞)ビザで韓国に入国したチャ被告は、被害者の兄弟と親しい関係だったとされる。
チャ被告は取り調べに対し、「12年前から何度も金を貸していた。計3000万ウォン(約300万円)を貸したが返してもらえなかったため、殺害した」と供述。また、コンビニ店主と家主を襲撃した動機については「普段から自分の悪口を言われたり、見下されたりしていたから」と語った。
警察は5月27日、チャ被告を拘束したうえで送検。その際、反社会的人格障害(いわゆるサイコパス)に関する診断結果も検察に提出した。
検査の結果、チャ被告はサイコパスには該当しないと判断されたが、捜査当局の方針によりスコアは公開されていない。一般的に、サイコパスの診断基準は40点中25点以上とされている。
(記事提供=時事ジャーナル)
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