広島市立大学が韓国人准教授を懲戒解雇…本人が「日本の右傾化が原因」「民族差別だ」と反撃

2017年06月04日 国際
このエントリーをはてなブックマークに追加

韓国で、広島市立大学の平和研究所で准教授を務めていたキム・ミギョン(金美景)氏が話題となっている。彼女は2005年10月、同大学に赴任して研究を続けてきたが、去る3月17日に懲戒解雇された。

『朝鮮日報』(6月2日付)は「“金の戦争”を知っていますか?」という記事を掲載し、「日本の右傾化を批判した社会学者キム・ミギョン氏、広島市立大を相手に復職闘争」などと見出しを打った。

また『教授新聞』も5月末に「“平和の都市”広島の二つの顔…“民族・女性差別主義と闘い名誉を取り戻す”」として、キム・ミギョン氏のインタビュー記事を掲載している。

いずれもキム・ミギョン氏が広島市立大学を「不当に懲戒解雇」されたことを批判する内容だ。これが事実であれば、許されることではないだろう。

「大学内外の暴力的な視線」

キム・ミギョン氏は懲戒解雇について、こう話している。

「長年の偏見が作用したと考えている。学問的劣等感と民族・人種差別主義が表れている。しかも私は韓国籍の独身女性教授だった。(日本の)右傾化が進み、大学内外の暴力的な視線はより執拗になった」

「大学は研究者としての私の存在自体を認めようとしなかった。キム・ミギョンという“朝鮮人女”が熱心に研究すること自体を嫌ったのだ。それに彼らからすれば、研究テーマも領土紛争、慰安婦のような敏感な事案であり、ただただ嫌だったとしか考えられない」

彼女を苦しめたのは、大学内だけではなかった。

しばしばメールが届き、「(韓国に)帰れ」「問題だらけの自分の国の心配をしろ」「日本国民の税金で給料をもらっているのだから黙っていろ」などと脅迫されたという。

つまるところ、日本の右傾化が進んで韓国人である自分が差別を受けたという話だ。

日本では詐欺で逮捕された

一方で、広島県警安佐南署は去る3月6日、キム・ミギョン氏を詐欺の疑いで逮捕している。

逮捕された理由は、2015年3月2日、大学事務局に英国で研修したように装って虚偽の旅費を請求し、大学から約34万円をだまし取ったとされた。

広島市立大学のホームページには、「教員の逮捕について」と題してこう書かれている。

「3月6日、本学の広島平和研究所教員が詐欺の容疑で逮捕されました。

本学として告訴していたところですが、このような事件の発生は、本学に対する社会の信用を著しく失墜させ、また市民の皆様のご期待を裏切るものでもあります。大変重く受け止めております。

今後、当該教員に対し厳正に対処し、再発防止に向けた対応をとるとともに、教育、研究、社会への貢献に全力を尽くし、広島市の公立大学としての信頼回復に努めてまいりたいと思います」

「逮捕という極端な措置」

彼女は逮捕から11日後の3月17日、釈放されている。

検察は不起訴と判断したわけだが、釈放から2時間後に大学からの懲戒解雇通知書を受け取ったそうだ。

大学側がキム・ミギョンを詐欺罪で刑事告訴してことについて、彼女は「事あるごとに学校から追い出そうとしていたが、さまざまな作戦が失敗したことで告訴、逮捕、拘禁という極端な措置を取った。これは学問の自由に対する深刻な侵害行為だ」と話している。

キム・ミギョンの主張通り、広島市立大学は本当に彼女を不当解雇したのだろうか。

彼女は5月末に訴訟をするとも語っているだけに、今後の動向を見守りたい。

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research