フェイクニュースを報じたメディアを対象とする懲罰的な損害賠償制の導入に、韓国国民の半分以上が賛成していることがわかった。
最近、韓国国会では「言論仲裁法」改正案が常任委員会の小委員会を通過した。
「言論仲裁法」とは、「言論仲裁と被害救済等に関する法律」のことで、言論社などの言論報道、またはその媒介によって侵害される名誉や権利、その他の法益に関する争いを調整・仲裁するなど、実効性のある救済制度確立を目的に制定された法律のこと。メディアの自由と公的責任を調和することに目的がある。
今回の改正案は、“懲罰的な損害賠償”が骨子となっており、新聞やテレビなどのメディアの故意・重過失による虚偽・操作報道によって、被害を受けた者が損害額の最大5倍まで損害賠償を請求できるようにするという内容だ。
現在、与党・共に民主党が野党の反対を押し切って小委員会で強行処理し、文化体育観光委員会の全体会議の審査を控えている。
そんな「言論仲裁法」改正案について、YTNの依頼で世論調査機関リアルメーターが賛成・反対を調査した。7月30日に満18歳以上の500人から回答を受け、8月2日に調査結果を発表。標本誤差±4.4%ポイント、信頼水準95%だ。
それによると、「賛成する」という回答が56.5%に上った。「とても賛成する」が38.9%、「ある程度賛成する」が17.6%となった。「反対する」は35.5%(「とても反対する」20.0%、「ある程度反対する」15.4%)にとどまった。「よくわからない」が8.0%だった。
男女間で差が出ており、男性は「賛成」54.8%、「反対」43.6%と拮抗。対して女性は「賛成」58.2%、「反対」27.5%となり、より賛成する比率が高かった。
年齢別では、40代(賛成67.4%、反対28.1%)、50代(賛成63.4%、反対32.4%)、30代(賛成59.2%、反対33.4%)から「賛成する」の声が多かった。
特に支持政党で大きく意見が分かれており、共に民主党支持層では83.1%が賛成するも、国民の力支持層では60.9%が反対した。
韓国ではフェイクニュースや歪曲報道などに対する批判が高まっており、今回の改正が一種の言論改革、メディア改革になるとの期待が強まっている。一方で、国民の力など保守層からは大統領選挙を見据えたパフォーマンスとの批判がある。
また、言論人たちの集いである「クァンフンクラブ」は8月2日に公式意見として、「最近与党が推進中の言論仲裁法改正案などは、ジャーナリズムの未来と国民の知る権利に甚大な影響を与える可能性があると判断した」と批判した。
そして「フェイクニュースが猛威を振るうほど、隠された真実を追跡し、ファクトを確認する伝統言論の価値と役割はさらに切実になる」とし、「しかし与党の改正案はむしろ調査報道、追跡報道、候補検証といった伝統報道の真実探求報道機能を委縮させる素地が大きい」と主張した。
韓国国民の過半数が賛成しているなかで、様々な意見が飛び出している「言論仲裁法」改正案が今後、どんな展開を見せるのか注目だ。
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