12月3日の非常戒厳事態を契機に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判が開始され、次期大統領選に向けた青信号が灯るかに見えた「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)代表だが、再び暗礁に乗り上げた。
偽証教唆容疑の無罪判決で一息ついた李代表の“司法リスク”が再び浮上してきたからだ。
サンバンウルグループと絡んだ裁判で起訴された李代表の側近であるイ・ファヨン元京畿道平和副知事が、控訴審でも有罪を免れなかった。李代表にも直結するサンバンウルによる違法な北朝鮮への送金の事実関係が、今回も認定された。
目前に迫った公職選挙法違反事件もある。
李代表が今年11月、1審で懲役1年、執行猶予2年の判決を受けた事件だ。今後10年間、選挙に出馬できない重い判決だ。選挙法違反事件では、控訴審が3カ月以内に結論を出すことが義務付けられている。尹大統領の弾劾審判とは別に、李代表が直面する危機の火種は消えていないように見える。
イ・ファヨン元副知事は12月19日の控訴審で、懲役7年8カ月の判決を宣告された。
政治資金法違反に関しては懲役8カ月、対北送金事件に関連する外国為替取引法違反や特定犯罪加重処罰法上の収賄罪などについては懲役7年と、罰金2億5000万ウォン(約2700万円)がそれぞれ言い渡された。
今年6月の1審(懲役9年6カ月)よりは、やや減刑された。しかし控訴審の裁判部は、イ元副知事と検察側の控訴理由の大部分を棄却し、1審の判断を支持した。
サンバンウルによる京畿道の対北送金疑惑は、特に注目に値する。裁判所で李在明代表の名前が言及されたのだ。
水原(スウォン)高裁・刑事1部(ムン・ジュヒョン、キム・ミンサン、カン・ヨンジェ裁判官)は、主要証人であるキム・ソンテ元サンバンウル会長らの証言の信頼性を認めた。
その上で、2023年7月21日にイ元副知事が拘置所内で書いた手紙を取り上げ、「イ元副知事がキム元会長に『李代表の訪朝に気を配ってほしい』と伝えた内容」と説明し、「これらの諸事情を総合すると、訪朝費用を肩代わりした趣旨だと解釈される」と結論づけた。
イ元副知事の防御論理は、これによって崩れた。彼は「対北送金はサンバンウルの対北事業の費用だった」と主張してきた。しかしこの事件は、サンバンウルが2018~2019年に北朝鮮側へ800万ドル(約12億6000万円)を支払った事実を中心にしている。この費用が、京畿道が北朝鮮側と約束した金額だという疑惑が問題だ。
検察は500万ドルをスマートファーム事業費、300万ドルを当時の京畿道知事だった李代表の訪朝費用と判断している。これはイ元副知事の複数の容疑の一部に過ぎないが、次期大統領候補である李代表が絡む疑惑が浮上したことで、争点化している。
これに対して、イ元副知事は「李代表は知らなかった」と反論している。もっともイ元副知事は途中で一度、立場を覆したことがある。2023年6月、検察で彼は李代表も対北送金について知っていたとする趣旨で供述した。しかし波紋が広がると、イ元副知事は拘置所内での手紙や法廷での証言を通じてこれを全面否定。「検察からの懐柔と圧力があった」と主張した。
「サーモンと酒の宴会疑惑」も、この際に出た。2023年5月、サンバンウルの法人カードで購入したサーモンや酒などを水原地検庁舎内で、キム元会長らが飲食したという話だ。イ元副知事は当時、キム元会長らに懐柔されたと主張している。
しかしこれも裁判所では認められなかった。控訴審の裁判部はこれに関連し、「検察に出廷する場合、複数の教導官が同行するため、そのような行為があったとする庁舎内の録画設備の構造を踏まえても、実際にそんなことがあったのか大いに疑問だ」と述べた。
またイ元副知事について「政治家としての経歴や年齢、学歴などを考慮すると、サーモンや酒が提供されたからといって彼の供述に根本的な影響を与えたとは容易には納得しがたい」と指摘した。
むしろ京畿道の組織的な動きが注目された。「京畿道知事の訪朝招請の要請活動と、キム・ソンテ元サンバンウル会長との協議内容および訪朝費用の支払いには、密接な時間的関連性があるように見える」ということだ。
裁判部はサンバンウル関係者が大量の外貨を密輸出し始めた2019年12月を指摘し、それが京畿道の要請時期と一致していると判断した。キム元会長らの出入国記録や出張費精算記録などの客観的資料が、対北送金の事実関係を裏付けるために活用された。
特に裁判部は「2019年7月、フィリピン・マニラで開かれた第2回国際会議(アジア太平洋平和国際会議)で、キム元会長が公の場で北朝鮮のソン・ミョンチョル朝鮮アジア太平洋平和委員会副室長に対し、約束を守ると発言した」とし、「当時、サンバンウルはすでにスマートファームの費用を完納していた状況だった」と説明した。
キム元会長が約束した費用は、訪朝費用と見られるという趣旨である。
李在明代表にとって、対北送金事件の控訴審でも障害を乗り越えられなかった形となった。今回の判決は、自然と李代表の他の裁判にも影響を及ぼすものと見られている。
李代表もまた、今年6月にイ元副知事の1審判決直後、対北送金事件に関連して第三者賄賂罪などで起訴された。しかし李代表は裁判部忌避申請を行い、この裁判の手続きは遅延している。
李代表が直面する障害はこれだけではない。遅くとも来年1月には、公職選挙法違反事件の控訴審にも備えなければならない。この事件は、大庄洞・白峴洞の開発不正疑惑に関連し、大統領選挙中に虚偽事実を公表したとされるものである。11月15日の1審では、懲役1年、執行猶予2年が宣告された。
選挙法違反事件の審理は比較的迅速だ。現行法では1審(6カ月)から控訴審(3カ月)、最高裁判決(3カ月)まで、1年以内に判決が出されなければならない。李代表は関連規定に基づき、来年1月7日までに控訴理由書を提出しなければならない。
そうしない場合、控訴が棄却され、1審判決が確定することになる。つまり議員職を失い、大統領選の出馬も不可能になるということだ。
法曹界の内外では、控訴審で議員資格が喪失されない罰金100万ウォン(約11万円)未満に減刑される可能性は、低いとの見方が出ている。「1審の判断が控訴審で半分以上減刑される例は極めて稀であり、現職政治家の選挙法違反事件で懲役と執行猶予の判決が出たのは異例だ」というのだ。
判決文の内容には、他の容疑を濃厚にする要素も含まれている。白峴洞開発事業に関連し、韓国食品研究院敷地の用途を民間業者に変更する過程で特別な恩恵があったのではないかという疑惑だ。
李代表は2021年の国土交通部国政監査で、これについて「国土交通部の圧力のために用途を変更した」と述べた。しかし1審の裁判部は、これを虚偽事実と判断した。国土部の敷地売却協力要請公文書などを基に、城南市の独自判断だったと結論付けた。
この件に関連し、「白峴洞ロビイスト」のキム・インソプ氏が注目されている。
彼は李代表や、李代表の最側近であるチョン・ジンサン元民主党政務調整室長(当時城南市政策補佐官)らと親密な間柄だ。キム氏は11月27日、用途変更に関するロビー活動の名目で70億ウォン(約7億6000万円)以上を受け取った容疑(斡旋収賄)で、最高裁で懲役5年の有罪判決を確定されている。
(記事提供=時事ジャーナル)
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