韓国Kリーグも公開する選手年俸。Jリーグと比べてみると【2016年版】

2016年04月28日 スポーツ #サッカー
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興味深い数字を見つけた。サッカー専門誌『サッカーダイジェスト』の特集企画だ。「J1・J2リーグ別 最新“クラブ番付」の題されたその特集のひとつに「年俸総額」のコーナーがあった。

Jリーグでは各クラブの選手年俸を公開していないので、選手たちの推定年俸を合計して各クラブ別の年俸総額を算出しているのだが、それに基づくと1位は浦和レッズの10億5260万円となるという。

紙面に掲載されたJ1・18クラブの年俸総額から平均を算出すると、J1平均は約6億502万円なるが、これはお隣・韓国のKリーグと比べてさほど変わらない。

というのも、Kリーグでは2013年から各クラブの選手年俸総額、平均年俸、国内選手および外国人選手の高額年俸者トップ3を毎年発表するようになったが、2015年の年俸総額1位は全北現代の120億509万ウォン(約12億50万円)だった。

韓国ではKリーグの選手年俸はJリーグよりも低いと思われがちだが、クラブ別年俸総額1位ではKリーグのほうが金を使っているわけだ。

もっとも、選手の平均年俸ではJよりもKのほうが低いと思われる。

Kリーグの試合模様


Jリーグが公表しておらず、『サッカーダイジェスト』も推定平均年俸は算出していないので一概には言えないが、2015年度Kリーグ・クラシックの韓国人選手平均年俸(出場給、勝利給込み)は1億4830万ウォン(約1480万円)と発表されたのだ。

2部リーグに匹敵する「チャレンジ」はもっと低く、平均4945万ウォン(約495万円)だという。円とウォンの価値の違いや日韓の物価の違いもあるが、JリーグのほうがKリーグよりも待遇が恵まれていることは間違いないだろう。

とはいえ、韓国ではそのKリーグすらも高待遇だ。韓国はプロサッカー(Kリーグ)、プロ野球(KBO)、男女プロバスケ(KBLとWKBL)、男女プロバレー(ともにVリーグ)があるが、もっとも平均年俸が高かったのはKリーグだった。

まさにKリーグは韓国プロスポーツ屈指の富裕リーグでもあるわけだが、昨今の年俸公開はさまざまな弊害もあるらしい。
というのも、年俸公開は透明性が確保されたり、クラブ財政の健全化促進という点が評価されているが、選手を引き抜きたい側にとっては年俸情報が交渉時の格好の目安。つまり、年俸公開がKリーグ選手の海外流失を加速させているという見方もあるのだ。

より良い条件を求める選手がその誘惑に呼応するのは当然のこととだが、Kリーグ側からすると、良かれと思った情報公開が結果的には足元を見られてしまう形になってしまったわけだ。とあるKリーグのとあるクラブ関係者も言っている。

「最近は他国クラブか先に選手エージェントと年俸で合意してしまい、クラブが引き留めるのも難しくなった」

そういった副作用あることを考慮すると、Jリーグが選手年俸を公表することを躊躇うことも一理あると思うが、例えば野球の場合はプロ野球選手会が年俸調査を発表している。プロ野球選手会では1980年から毎年行っているそうだが、そういったデータもスポーツの楽しみのひとつではないだろうか。

ちなみにソフトバンクが初めて平均年俸で首位になったことは韓国でも報じられている。それもほとんどの報道には「韓国の3倍」という見出しつき。

大手通信社の『聯合ニュース』も「日本プロ野球選手平均年俸3億8000万ウォン……韓国の3倍」と、わざわざ円をウォンに換算してからの報じ方だ。日本と韓国のプロ野球年俸にかなりの差があることは以前に紹介したが、やはり日本プロ野球の年俸は韓国も気になるようだ。

韓国では「選手の立場からするとJリーグの魅力は10年前に比べて半減した」という関係者たちもいる。

そこには多分に年俸面に対する見切りも含まれているのだろうが、平均年俸ではJよりも低いと思われるKリーグの関係者に言われっばなしというのも、どこか釈然としない。Jリーグもそろそろ選手の平均年俸ぐらいは公表してもいいのではないかと、ちょっぴり思ったりしてしまうのは、私だけだろうか。

文=慎 武宏

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