日本から約半年遅れの2017年1月24日に韓国でリリースされた『ポケモンGO』。最近も史上最速で売上高10億ドル(約1100億円)を達成したと報道された大人気ゲームは、韓国でも社会現象を巻き起こしている。
韓国で『ポケモンGO』はサービス開始から1週間で、700万ダウンロードを記録。韓国で国民的ゲームと呼ばれた『Ani Pang』でさえ500万ダウンロードを突破するまで4週間かかったことを考えると、これは驚異的な数字だ。
韓国のプレイヤーたちの間では新たな流行語まで生まれている。
例えば“ポセゴン”。
これは「ポケモン」と「ヨッセゴン」(駅勢圏=鉄道駅の近辺という意味)を合わせた造語で、ゲームを進める上で重要な拠点となる「ポケストップ」がたくさんある地域のことを、韓国のユーザーたちの間ではそう呼んでいるらしい。
韓国では教会や公園がポケストップに設定されることが多いため、その近辺がポセゴンと呼ばれやすいというのだ。
ポセゴンに住むことはプレイヤーたちの憧れであり、その地域で暮らす人々は“ポスジョ”(「ポケ」ストップとクム「スジョ」=金の匙。裕福な家の子を指す造語)と呼ばれ、羨望の的となっている。
『ポケモンGO』の勢いは芸能界にも進出している。
昨年夏に一部地域でのみゲームがプレイできた際には歌手のチョン・ジュンヨンやフィットネス・タレントのイェ・ジョンファが夢中になっていたが、今回の韓国正式リリース後、その熱はさらに広がっている。
俳優のイ・ジョンソクはスタッフたちと『ポケモンGO』を楽しむ姿を自身のインスタグラムに投稿して、話題を呼んだ。また、女優のイエルもインスタグラムでポケモンの一種「コダック」との2ショット写真をアップし、ゲームにハマっていることをアピールした。
とはいえ、『ポケモンGO」が生んでいるのは明るいニュースだけではない。
韓国ではその人気を利用した“便乗アプリ”が多数登場し、そのなかにはGoogleアカウントのIDやパスワードを要求するものまであるというのだ。
個人情報の流出を懸念する声は日々高まっており、メディアは警鐘を鳴らしている。
また日本では昨年、運転中に『ポケモンGO』をプレイしていたことによる交通事故が多発し、悲しき死亡事故まで起きたが、韓国でもリリースから2日間だけで『ポケモンGO』関連の交通事故が36件も摘発されている。
これを受け韓国警察庁は、運転中のゲーム利用による交通事故防止のために、2月の一カ月間を、急きょ“交通安全活動強化月間”にすると発表。
交通ルールを無視したプレイは決して褒められるものではないが、それだけ韓国での『ポケモンGO』の人気度を示しているとも言える。
日本では一服感のある『ポケモンGO』だがこれから韓国社会にどんな影響を及ぼしていくのか。引き続き注視していきたいところだ。
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