近年の韓国プロ野球の盛況ぶりは、なんといっても女性ファンの貢献度が高い。韓国野球は、2006年のWBCでトップ4入りを果たし、2008年の北京五輪では金メダルを獲得。その時期を境として野球に興味を持つようになった、いわば“野球女子”が数多く誕生したといわれている。昨年の統計では、観客の約40%を20~30代の女性ファンが占めたそうだ。
野球の魅力について、とある女性ファンは「北京五輪の全勝優勝をなんとなく見届けるうちに、気がついたら野球にハマっていました。野球って人生にも例えられるほど、哲学的なんですよね。あと、シーズンの間はほぼ毎日試合があるので、他のスポーツとは違って身近に感じられるんです」と語る。
韓国の野球場といえば、昔はおじさんと野球少年だらけだったと聞く。観客席のあちこちにお酒の空き瓶が転がり、タバコの煙で満ちていたとか。そこに女性が現れるようになって、球場の文化も徐々に変化し始めたそうだ。
まず、よく目にするようになったのが女性ファン手作りのプラカード。
これは、選手を励ますためでもあるが、同時に自分がどの選手のファンなのかを示すものでもあるらしい。最近は、「優勝するまで嫁に行かない」「ボールの代わりに私を取りにきて」といった女子ならではの面白文句もたくさんあるようだ。
また、応援するチームのユニフォームを可愛く着こなした女性ファンも多い。女性客の急増に歩調を合わせるように、各球団も女性向けグッズの販売を盛り上げている。なかでもピンク色のユニフォームや帽子、マスコットの付いたカチューシャーなど、球場で大活用できるグッズが売れ筋なんだとか。
気になるのは、女性ファンに人気のある球団。韓国で最も女性ファンに愛されているのは、ずばり「斗山ベアーズ」だろう。女性の入場料を割引する「クイーンズ・デー (Queen’s Day)」や、選手との「フォトタイム」などを開催して、女性ファンを喜ばせている。
女性ファンの急増が影響してか、プロ野球選手もすっかりアイドル扱いだ。
最近はイケメン選手が増えたこともあり、女性ファンの中には、選手の汗すら逃さない勢いで写真を撮りまくる人も多い。まるでアイドルに会いに行く感覚で球場を訪れているわけだ。
一方、ミーハー的ではない“本格的な野球女子”も年々増えているとか。彼女たちは審判並みにルールを勉強し、プロ野球だけじゃなく、メジャーリーグや高校野球もチェックするらしい。彼氏とのデートも球場で済ますくらいなので、もはや“オタク”と言っても過言ではないようだ。
女性ファンから「男性チアリーダーもいて欲しい」との声も上がる韓国のプロ野球。今年も、韓国各地の野球場を盛り上げるのは、女性ファンに違いない。
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