「スポーツマンガを読んで夢を育てました」 巨人でも活躍した韓国の野球選手イ・スンヨプ(三星ライオンズ)の発言だ。日本ほどではないが、韓国にもマンガやアニメを読んで密かに夢を膨らませたスポーツ選手がいる。
イ・スンヨプは、1970年代に発売された韓国の野球マンガ『ドッゴタク』シリーズを見て野球選手を目指したそうだ。『ドッゴタク』とは、背が低いというコンプレックスがある少年が、努力によって立派な野球選手になるという内容の作品。作者イ・サンムは大の野球好きで、野球マンガを書き続けた韓国漫画界の巨匠だ。日本で言えば『スラムダンク』の井上雄彦のような存在だろうか。
また、元プロ野球選手リュ・テキョンも『ドッゴタク』が大好きで、現役中は主人公と同じ背番号“14番”を付けていたという。「『ドッゴタク』に出てきた魔球“ドライブボール”の真似をして遊んでいたら、肘がすりむけてしまいましたよ」と、思い出を語っていた。
プロ選手が影響を受けたマンガは、日本の作品も少なくない。プロバスケ選手が「人生を変えられた」とよく語る作品は、やはり『スラムダンク』だ。
韓国女子バスケ界の“アイドル”と言われるシン・ジヒョン選手は、「子供の頃に読んだ『スラムダンク』にはすごく影響を受けましたね。今読んでもモチベーションが上がります。私は仙道彰が好きだったので、自分のプレースタイルもそうなってしまったみたいです(笑)」という。他にも『スラムダンク』でバスケを学んだという選手は数知れず。まさに“バイブル”といった感じだ。
それにしても、近年の韓国プロ野球界では、異常なまでにマンガのキャラクターをフィーチャーしている。特に、日本の作品とのコラボが多いようだ。
今季、韓国のプロ野球団・ロッテ・ジャイアンツは、『ドラえもん』とコラボ契約を結んだ。毎週土曜日には、選手たちが『ドラえもん』バージョンのユニフォームを着て試合に出るらしい。
関係者によると、「ロッテの昔のユニフォームは青色なので、ドラえもんのイメージカラーともぴったり。それに、ドラえもんは何と言っても“夢を叶えてくれる”キャラクターですから、そういう願いも込めています」とのこと。
その『ドラえもん』バージョンのユニフォームやグッズは爆発的に売れており、ドラえもんブーム真っ最中だ。
2014年には、LGツインズが『ハローキティ』を、昨年はSKワイバーンズが『ポケットモンスター』の“ピカチュウ”とコラボ。意外と韓国スポーツ界も、サブカルチャーと縁が深いようだ。
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