韓国女子ゴルフの取材執筆していると、よく尋ねられることがある。
「韓国で最も人気が高い女子ゴルファーは誰ですか?」ということだ。
個人の趣向があってはならないので、その度にいくつか根拠となるデータを提示してきた。
例えば2013年は、朴セリと申ジエが人気だった。根拠にしたのは、韓国の世論調査機関である『リスピアル調査研究所』の調査結果だ。
同研究所が、13~69歳までの一般男女1332人を対象に実施した“2013年度人気度調査”女性アスリート部門のトップ10に、朴セリと申ジエの2人がランクインしていたので、日本のゴルフ雑誌などには2人を人気選手として推薦した。
2015年ぐらいからはKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)アワードで発表される人気賞の受賞者たちをリストアップした。
KLPGA人気賞は、ゴルフ記者とファンたちの投票で決まり1~3位までが発表されるが、2012年はキム・ジャヨン、2013年はキム・セヨン、2014年はチョン・インジ、2015年と2016年はパク・ソンヒョンが選ばれている。
ここに紹介した選手たちは、一般紙が現役女子プロにアンケートを募ったランキングにも名を連ねていたので、同業者も認める人気選手と言えるだろう。
また、KLPGAが毎年選定する“KLPGA広報モデル”も人気選手の証だと言えるだろう。
KLPGA広報モデルは、賞金ランキング上位60位以内の選手(海外ツアーで活動中の選手は除外)のなかから、メディアやスポンサー関係者、KLPGA会員などの投票によって、毎年10人ほどが選ばれる。
日本でプレーすることが濃厚な“8頭身美女ゴルファー”ユン・チェヨンは8年連続で選ばれており、“韓国女子ゴルフ界のセクシークイーン”アン・シネもKLPGA広報モデルの常連だ。
彼女らに加え、“フェアウェイのバービー人形”と呼ばれるパク・キョルなどを含めた選手たちを“韓国美女ゴルファー神セブン”と呼んで推薦させてもらっているが、最近はこんな質問も多かった。
「イ・ボミとキム・ハヌル、韓国ではどちらが人気なのですか?」
先日もとあるゴルフ雑誌からこのテーマで依頼されコラム原稿を寄稿させていただいたが、日本で人気を二分する2人の韓国での人気ぶりを知りたいのだろう。
ともに1988年生まれで同じ大学の同窓生であり、イ・ボミは2010年のKLPGA賞金女王、キム・ハヌルは2011~2012年の賞金女王。さらにふたりとも日本で確かな結果を残しているだけに、何かと比較分析をしたいのかもしれない。
しかし、回答に困るというのが正直なところだ。
拙著『イ・ボミはなぜ強い?~知られざる女王たちの素顔~』(光文社新書)で取材させてもらった韓国の月刊ゴルフダイジェスト元編集長で、現在は『ヘラルド・スポーツ』編集長のナム・ファヨン氏によれば、ふたりは韓国時代から人気だったという。
「そのなかでもキム・ハヌル人気は凄かった。韓国女子ゴルファーで初めて私設ファンクラブができたのも、彼女が初めてだった。メディアで最初に注目を浴びたのも、キム・ハヌルが先だったでしょう」
ただ、最近はイ・ボミが猛チャージを仕掛けている。
例えば2016のメディアの露出数ではイ・ボミに軍配が上がる。韓国の検索サイト最大手『NAVER』のニュース欄それぞれの名前をヒットしてみると、イ・ボミは2万7792件、キム・ハヌルは2万6086件だった(2016年12月26日時点)。
ファンカフェと呼ばれる本人公認ファンサイトの会員数もイ・ボミ2630人に対し、キム・ハヌルは1615人と、イ・ボミのほうがリードしているのだ。
それだけに人気で甲乙をつけるのは難しい。現場で彼女たちに密着しているゴルフ記者によると、プライベートでは仲の良い2人だけに、余計にそう思う。
いずれにしても、同じ年で、同じ建国大学校の同窓生でもある2人。ともに活躍の場を日本に移しても、韓国ファンの熱視線を浴びているのは間違いないだろう。韓国では、そんな2人の活躍を間近で見ることができる日本のファンたちを羨む声もある。
(文=慎 武宏)
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