だが、いずれも本名で活躍することはできず、かつてはその出自を語ることさえもタブーとれる風潮があったため、「通名」と呼ばれる日本名で使用して活躍する者も多かった。
最近だとプロレス・格闘技では長州力、前田日明、徳山昌守、秋山成勲などがそうだ。
特に野球は多く、金村義明(元近鉄)、桧山進二郎(元阪神)、新井貴浩(広島)、金城龍彦(横浜)、森本稀哲(元西武)、上田剛史(東京ヤクルト)などが在日であることを公言しているが、野球界では日本名だからわからないだけでかなりの在日選手がいるとされているほどだ。
「日本の野球界には帰化している選手も含めて在日は多い」とは、阪神タイガースでプレーし、2004年7月に在日であることを公表した桧山進二郎の言葉だ。
現役引退後に『在日魂』という本を発表している金村義明も言っている。
「あるチームの四番打者に“在日だろ”と聞くと、血相を変えて否定してきた。悲しかったけど、それを批判はできない。親が在日であることを隠し、自分がコリアンであることを知らずに育った選手もいるわけだから」
確かにその通りだ。最近は在日コリアン社会も3~4世が主流となり、民族色も薄れつつある。国際結婚が急増し、コリアンの血を引くが生まれた時点で国籍が「日本」になっているケースも少なくない。
「日本人とか在日だとか、そういうの、野球には関係ない」
そういう状況を考えれば野球界に在日であることを公言する選手が少ないのも仕方がない気もするが、北海道日本ハムファイターズ、横浜ベイスターズ、西武ライオンズで活躍した森本稀哲のように、日本に帰化したが、本名のヒチョルをそのまま使う選手も登場している。
漫画『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王のコスプレをしたり、スパイダーマンのマスクをかぶるなど、楽しいファンサービスでも有名な彼は言っている。