プロレス、プロ野球、Jリーグ…在日コリアン・アスリート列伝

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「球界にいると、あの人も在日だよとか聞きますけど、僕は全然まったくわからないんですよ。そもそも、誰が在日とか意識しないし、むしろ自分は“在日コリアンなんだ”というのもない。逆に、相手が僕を見て“実は俺もそうなんだ”と言う選手が多いんです。僕としては、在日だからと言ってそんな輪の中に入ろうとは思わない。日本人とか在日だとか、そういうの、野球には関係ない。韓国に住むことは考えてないし、日本も好き。僕は日本で生まれて日本で育ったわけですから」

一見すると、国籍や民族、アイデンティティーには無関心のように見える言葉であり、本人もそれほど「在日」であることを意識はしていないのだろう。ただ、長い日本のプロ野球の歴史で、本名で1軍登録され活躍したのは彼が初めてだ。そう考えると、森本の出現は画期的ともいえるかもしれない。

韓国球界で“野球の神様”と呼ばれる男のルーツ

また、在日野球人たちは、本国・韓国球界の発展にも大きく寄与している。韓国プロ野球が発足した初期、新浦壽夫(元巨人)、石山一秀(元近鉄)、福士敬章(元広島)など多くの在日選手が玄界灘に渡って韓国球界の発展に寄与したし、今も日本プロ野球出身の在日がコーチや監督として活躍している。

韓国で最も有名なのは、金星根(キム・ソングン)監督だろう。韓国プロ野球7球団で監督を務め、歴代2位の勝利数を誇り、現在もハンファ・イーグルスを率いる名将だ。

コーチ時代には、あのイ・スンヨプ(元巨人)やイム・チャンヨン(元ヤクルト)を育て、韓国球界では「ヤシン(野神=野球の神)」とまでされる彼は、日本で生まれ育った在日韓国人2世だ。

永住権を放棄して韓国に戻り、人脈も地縁もないなかで韓国球界で生き残り、ときにはその指導法、采配、発言で波紋を呼んできたキム・ソングン監督は、文字通り、たたき上げの“野神”と言える。その雑草根性は、在日魂にも通じるものがあるかもしれない。

日本代表として活躍した李忠成

野球に比べると、サッカーでは本名を名乗り、自分の出自を公言して日韓両国で活躍する選手が多い。

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