カンボジアで韓国人を狙った就職詐欺や監禁犯罪の全貌が明らかになるなか、現地で依然として安全が確認されていない韓国人はおよそ80人に上ることが分かった。
10月14日、韓国の外交部関係者によると、今年1月から8月までにカンボジアに入国した後、連絡が途絶えたり監禁されたとの通報が寄せられた韓国人は330人で、昨年は220人だったという。
このうち、今年の約260人と昨年の210人については「終結」処理が行われた。「終結」とは、通報後に現地警察による逮捕や救出、本人の脱出、帰国、または連絡再開など、いずれかの理由で監禁状態ではないことが確認された場合を指す。
したがって、今年8月時点で約80人の安全が確認されていない状態だと同関係者は明らかにした。これは外交部に寄せられた通報を基にした数字であり、韓国警察が把握している件数と重複している可能性があるため、現在クロスチェック作業が進められている。
韓国の警察によると、昨年以降、カンボジアでの失踪・監禁通報は143件で、そのうち52件が未解決だという。
一方、カンボジア警察の取り締まりで逮捕された韓国人も数十人にのぼる。外交部によると、カンボジア当局が7月と9月に実施した取り締まりでは、オンライン詐欺犯罪現場で韓国人90人が逮捕された。
彼らは本来であれば国外追放の対象だが、在カンボジア韓国大使館の領事支援を受けつつも帰国を拒んでいた。しかし最近になって徐々に帰国する動きが見られ、現在は約60人が現地に残っているという。これに関連して、前日、共に民主党のユン・フドク議員は外交部に対する国政監査で「現地の刑務所に68人の韓国人がいると聞いた」と発言した。
当局は、これらの人々が自らオンライン詐欺犯罪に加担したとみている。現地警察に摘発された場合、原則として拘置所に約2か月収監された後に追放されるという。
2023年末、ミャンマー・ラオス・タイの国境地帯「ゴールデントライアングル」で盛んだった韓国人対象の就職詐欺は、昨年からカンボジアへと拠点を移す傾向を見せている。外交部は昨年初め、ゴールデントライアングル地域を「渡航禁止区域」に指定した。
カンボジアでの韓国人監禁被害の通報件数は、2022年は1件、2023年は17件にとどまっていたが、ゴールデントライアングル地域が渡航禁止となった昨年には220件に急増した。
現在、カンボジアの一部地域は「渡航自粛地域」に指定されている。韓国人の訪問者・居住者がほとんどいないゴールデントライアングルと異なり、カンボジアには年間約20万人の韓国人観光客と約1万人の在住韓国人がいるため、完全な「渡航禁止」には至っていないとみられる。
ただし、大統領室は同日、カンボジアに対する渡航警報の引き上げを検討すると明らかにした。
なお、日本でも「闇バイト」や偽求人を餌に、応募者を詐欺や強制労働に巻き込むケースが散見される。警察庁は、報酬を明示せずに高収入を匂わせる求人は犯罪に加担させる目的の可能性があるとして警戒を呼びかけている。
また、ミャンマー方面で日本人が特殊詐欺拠点に監禁された疑いも報じられており、国際的な詐欺犯罪に日本人が巻き込まれるリスクも否定できない。
(記事提供=時事ジャーナル)
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