そもそも彼女はなぜ体を鍛えようと思ったのか。これから始めるのは2018年春に行ったインタビューの再録だ。
「大学を卒業した後、カフェで働き始めたんです。カフェ店員になるのが幼い頃からの夢だったので、当時は、今思えば働きすぎだと思うぐらい仕事をしていました。朝早くから夜遅くまで、カフェで働いていましたね。
でもある日、お店のカウンターで仕事をしていたら、ものすごい腹痛に襲われてしまって。そのままお店で倒れてしまい、病院に運ばれたんです。
急性胃腸炎でした。そのとき、“健康が最優先”だと悟り、運動を始めることにしたんです。そして、トレーニングをする上で、一つの目標にしたのが、『マッスルマニア』に出場することでした」
『マッスルマニア』は、韓国で抜群の知名度と影響力を持つマッスル大会である。
日本の写真週刊誌でも紹介されて“キュート&チャーミング”をキャッチフレーズとするチェ・ソルファをはじめ、数多くのスターを輩出してきただけに、大会の競争率も高く、並大抵の努力では入賞は難しい。
ユン・ヘジュはそんな難関を目指して体作りを始めそうだが、大会までの準備期間も限られていた。
ユン・ヘジュがトレーニングを始めたのは大会の約6カ月前。一般的に、大会経験者でさえ6カ月以上かけて体を作ると言われている中、フィットネス未経験のユン・ヘジュにとって約6カ月という期間は、十分な日数とは言えなかったはずだ。
だが、それでもユン・ヘジュは時間が足りないことを言い訳にせず、トレーニングの密度を高めて体を作ったという。
「30~40分の有酸素運動から始めて、その後、1時間30分かけてウェイトトレーニング。これが基本の1セットですが、大会前は、この1セットを一日に2~3回繰り返していましたね。当時はまだマーケティング会社に勤めていたのですが、大会の2カ月前からは会社も休んでトレーニングに明け暮れていました」
また、トレーニングだけでなく、食事管理も徹底した。