韓国は、経済協力開発機構(OECD)加盟国のなかで、最も自殺率が高い国として知られている。
韓国の自殺率は、1993年は10万人あたり9.4人だったが、その後の20年間で28.1人まで急増(韓国統計庁「死亡原因統計2012」)。日本の自殺率が21.8人(内閣府「平成25年中における自殺の概況」)であることを踏まえても、韓国の自殺率の高さがわかる。
韓国で特に問題となっているのは、65歳以上の老人の自殺だ。
統計によってばらつきがあるものの、年間自殺率は2000年当時に比べて約3倍、現在では10万人あたり70~80人になっているとの統計もある。
韓国は独裁政権の崩壊、1997年のIMF危機、リーマンショックなどを経て、社会が猛スピードで変化を遂げている。
そんな社会情勢のなかで「親の世話は子供が見るべき」という儒教的価値観が崩壊する一方、国民年金制度も歴史が浅く脆弱なまま。また同時に都市化が進むことで、地方における独居老人世帯が一般化し、孤独と貧困の中で命を絶つ老人が急増しているのだ。
加えて児童・青年の自殺率も問題になっている。
韓国大手紙『中央日報』が報じたところによると、韓国内の児童・青少年の自殺率は2000年には10万人あたり6.4人だったが、2010年までに9.4人(46.9%増)と大幅に増加した。
児童および青年の自殺で、2大原因となっているのは経済的困窮(42.6%)と、成績や進学など学業に関する問題(39.2%)。格差や競争が厳しいとされる韓国社会の現実が、青年たちの自殺原因から垣間見えてくる。
日本と韓国では、自殺の理由が大きく異なっている。
2014年に内閣府が発表した自殺対策統計最新版に、日本国民の自殺の内訳が公開されている。死亡動機で最も多かったのは、うつ病などの健康問題だった。年代では40-49歳の年齢層が最も多く、職業別では無職者が圧倒的に多かった。
いずれにせよ、20年で自殺率が3倍にまで膨れ上がっている韓国。当然、国民の幸福度も低い。
自殺者を救うための社会的な対策が取られることを願うばかりだ。
前へ
次へ