日本からの出国時に1人1000円を課す「国際観光旅客税」、いわゆる“出国税”が1月7日から始まった。報道によれば、年500億円の税収が見込まれるという。
出国税は、国籍を問わず日本を出国する人が納める。航空券の購入代金などに上乗せされるが、2歳未満の子供や入国24時間以内に出国する乗り継ぎ便利用者、天候などによりやむなく立ち寄る人は徴収されないそうだ。
日本でも賛否が分かれているなか、お隣・韓国も日本の出国税に対して敏感に反応している。
韓国メディアもこぞって報じており、「日本、今日から出国税1万ウォン付加」(『聨合ニュース』)、「日本、今日から1万ウォンの出国税…内・外国人全員に適用」(『NEWSIS』)などと、事実関係を伝えている(1万ウォン=約1000円)。
“韓国のYahooニュース”といえる「NAVERニュース」でも、トップで報じられていた。
韓国が日本の出国税に注目する理由は、なぜか。
それは、日本を訪れる韓国人観光客が多いからに他ならないだろう。韓国人は、中国人に続いて2番目に多く日本を訪れている。
日本政府観光局の「2018年11月推計値」を見ると、同月の訪日外客数は245万800人。そのうち58万8200人が韓国からの観光客だ。比率にすると、実に24%に上り、日本を訪れる外国人観光客の4人に1人は韓国人なのである。
日本を訪れる韓国人が多いからこそ、新たに始まった出国税に注目しているといえるだろう。
報道に触れた韓国ネットユーザーの反応はさまざまだが、「日本に行くのをやめよう」「韓国人だけで年間80億円くらい払うことになる」「日本旅行をすすめる広告を控えるべき」「観光で儲けたお金の一部が軍事力強化に使われると思うと…」といったネガティブな反応も見られる。
興味深いのは、日本の出国税と同様の税金が韓国にあることを知らない韓国人が少なからずいるということだ。
韓国で1997年にスタートした「出国納付金」が、それだ。施行当初は韓国人だけが納付していたが、2004年に改正され、外国人も納付している。韓国も日本と同じ約1000円(1万ウォン)であり、毎年200億円ほどの税収になっているという。
韓国の出国納付金は日本の出国税と同じく航空券、船舶料金などの運賃に含めて徴収されているので、少なくない韓国人が納付している事実を知らないわけだ。
それだけにネット上では、「韓国にはもともと出国税がある」「出国税なんて韓国でも施行されている」「韓国でも定着しているのに、無知が多いな」といった冷静な指摘も相次いでいる。
日本でも数年後には韓国と同様に、「出国税がある」ということを忘れる人が増えるかもしれない。
いずれにせよ、韓国でも話題を集めている日本の出国税。韓国人観光客に何かしらの影響を与えるのかどうか、注目してみたい。
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