もうすぐ5年。「死んで蘇っても我が国では作れない」と言われた韓国のポケモンGOフィーバー

2021年07月05日 社会
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一世を風靡したポケモンGO。初リリースが2016年7月6日だから、今日でちょうど5周年を迎えることになる。

5年前の熱狂ぶりはお隣・韓国でも報じられた。

「ポケモンGO、本場の日本についに上陸」(『YTNニュース』)、「日本列島もポケモンGO病に」(『ヘラルド経済』)、『ポケモンGOサービス開始1週間、日本列島が沸騰中」(『GameMeca』)、「ポケモンGO熱風の日本、“ポケノミクス”新造語も登場」(『IT NEWS』)など、日本のポケモンGOブームは韓国にも詳しく伝えられていた。

なかには「ポケモンGO、日本配信4日間で交通事故36件」(『聯合ニュース』)、「ポケモンGO、福島原発にもポケモンとの噂に東京電力も当惑」(『NEWSIS』)といったことまで報じられている状態だった。

そんな日本のポケモンGOフィーバーを羨望の眼差しで見つめていたのが、韓国のポケモンファンたちだった。

かつて夢中になったポケモン・グッズを懐かしんだり、今でも所有していることをブログやSNSで自慢するマニアたちも増えているという。韓国にはPCマニアが手作りで作ったオリジナルのポケモンゲームまであったというのだから驚きだ。

ポケモンGOができた束草へのバスツアーを企画した旅行会社サイト

韓国のこうしたポケモン熱を牽引するのは、小学・中学時代にポケモンに親しみ、今では20~30代になった若者たちだが、彼らを単純に“ポケモン・オタク”と決め付けることはできない。

そもそも韓国でも日本文化は人気だった。特に日本の漫画やアニメ、ゲームなどはインターネットが普及された2000年前後からますますその勢力を拡大。持続的にそれらを消費する、いわゆる「オドック」と呼ばれる者たちも現れ始めた。

ちなみに「オドック」とは「オタク」を韓国風に発音して生まれた造語。以前、韓国のコスプレ文化を通じてオドック・パワーを紹介したが、そんなオドックたちのポケモン愛が、世界的なポケモンGOブームで再燃しているとも言えるだろう。

しかも、最近はオドックたちが“キダルト族”に進化している。

“キダルト族”とは、“kid(子供)”と“adaut(大人)”を組み合わせた造語で、「子供の頃の趣味や好きなものを大人になっても続けており、その趣味に大金を投資・消費することをなんとも思わない大人」を意味している。

言わば趣味のためなら“大人買い”も辞さない者たちを示すのだが、韓国では最近、この“キダルト族”たちが急増中。芸能人にも多く、女優で“美しすぎるボクサー”でもあるイ・シヨンは、韓国芸能界きっての“ガンダム・マニア”でガンプラを集めるために相当なお金を使っていることも公言している。

そんな“キダルト族”の中でポケモン・グッズが飛ぶように売れたこともあった。

2016年、韓国の大手通販サイトではたった2週間でポケモン・グッズの売上が72%も上昇。ネットオークションでは1990年代に韓国で流行したポケモン・シールが20万ウォン(約2万円)で取引されているのだから驚きだ。

韓国の流通業界関係者によると、「“キダルト族”たちにとってポケモンGOのピカチュウなどは子供の頃に慣れ親しんだキャラ。“キダルト族”の消費心理を刺激している」という。

そんなキダルト族の心理を刺激するかのように、当時は“ポケモンGO日本ツアー”なる旅行パッケージを企画している業者もあり、ニュースサイト『ノーカットニュース』には、「ポケモンGOを楽しむに最適な日本の観光地」という特集記事も組まれた。

私の友人にも、レゴやガジェット好きの“キダルト族”がいるが、この週末にさっそく東京にやって来て、新宿御苑や錦糸公園でポケモンGOを楽しんでいたほどだった。

日本のポケモンGOフィーバーを憧憬と羨望の眼差しで見つめる韓国の“オドック”や“キダルト族”たちも、ポケノミクスに貢献してくれていたことは間違いなさそうだ。

文=慎 武宏
 

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