毎年夏、東京ビッグサイトで行われる日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」。前回となる2015年8月の「コミックマーケット88」は、3日間の累計来場者数が55万人にも上ったというのだから驚きだ。もはや夏の風物詩と言っても過言ではないだろう。
そんな前回のコミケで問題になったのが、偽札や偽硬貨問題だ。
なかでも、100円硬貨の代わりに韓国の100ウォン硬貨を混ぜる“コイントリック”には、注意が促されていた。100ウォン硬貨は大きさや重み、デザインまで100円硬貨とそっくり。見た目はそっくりでも、その価値は約10分の1しかない。間違えて100ウォン硬貨を受け取れば、およそ90円の損失だ。
形や大きさを利用した韓国の硬貨詐欺といえば、一昔前に日本では500円硬貨と材質や大きさが酷似した500ウォン硬貨を使った詐欺が流行した。こちらは、500円硬貨よりやや重い500ウォン硬貨に穴をあけたりすることで、自動販売機を誤認させてお釣りを盗むという手口だった。
しかし、なぜ今さら使い古された詐欺が再び注目を集めたのか?
それは、ある日本人が発信したツイートがきっかけだった。「韓国人観光客のなかに100ウォン硬貨を混ぜて支払う人が急増している」というツイートが拡散されて、韓国国内でも大きな波紋を呼んだのだ。
韓国ネットユーザーからは「韓国人として恥ずかしい」「よその国に行ってまでそんなことするなよ……」といったあきれる発言が目立つ。しかし、彼らが一個人のツイートに過剰反応したのは、その時期、韓国国内でも偽札事件が多発しているからだろう。
実際に2015年の夏にも高校生3人が偽5万ウォン札を製造、不正利用したとして逮捕された。彼らはコンビニなどで偽5万ウォン札を計13回にかけて45枚使用したとみられており、未使用の100枚ほどを警察に押収されている。その動機について「家出した1人の生活費を賄うためだった」と供述している。
ちなみに3人は、5万ウォン札の偽造防止部分に銀色のマネキュアを塗って、両面コピーする手法で偽札を作ったのだが、これは2014年に韓国で大ヒットを記録した犯罪アクション映画『技術者たち』のワンシーンを模倣したそうだ。
同映画製作会社からのコメントは出ていないが、実際に使える犯罪技術を公開してしまったことに、どういう対応を取るのかにも注目が集まった。
高校生3人にとどまらず、韓国銀行が2015年8月5日に発表した「2015年上半期偽札発見の現状」によると、同年上半期に発見された偽札は計2715枚。2014年下半期の2602枚に比べて、4.3%増加したことが判明している。
円安の影響を受けて、日本を訪ねる韓国人観光客が増加中の昨今。韓国硬貨を使った詐欺は、今後も多発するとの予測もある。普段から注意しないと、財布のなかに100ウォン硬貨が紛れ込むなんてことがあるかも?
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