「PM2.5」などの“微細粉塵”…韓国の大気汚染が深刻化し社会問題に

2016年03月26日 社会
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韓国の大気汚染が近年、問題となっている。

2015年10月19日、ソウルに近い京畿道では、「PM10」や「PM2.5」などを含む“微細粉塵”の濃度が1立方メートル当たり189マイクログラムを記録。数字を聞いてもピンとこないかもしれないが、世界保健機構(WHO)が定める基準値は25マイクログラムなので、実に7.6倍も高いことになる。

韓国環境部は同年1月から微細ホコリの濃度を公表しているが、2004年のソウルの濃度は1立方メートル当たり平均76マイクログラムだった。

この時点ですでにWHO基準値より3倍ほど高いことになるが、ここ10年で2倍以上も濃度が上がっている。

脳卒中にもつながるというデータが

韓国で微細粉塵が急増している原因は、中国にあると指摘されている。

急速に産業化する中国は石炭に対する依存度が高く、その石炭燃料によってスモークが発生、それが西風や北西風に乗って韓国に流れてくるのだ。空気中の汚染物質の30~50%が“中国発”ともいわれている。

微細粉塵の問題点は、そこに含まれた鉛や水銀などの重金属と、各種の有害物質が呼吸器や肺に浸透する恐れがあること。長時間、微細粉塵の影響を受けると、風邪、喘息、気管支炎はもちろん、皮膚疾患や眼球疾患などにもつながるという。

微細粉塵の濃度が上がり大気汚染が進行すると、脳卒中が増加するという研究結果もある。

イギリス・エディンバラ大学の研究チームによると、PM10やPM2.5といった微細粉塵の濃度が、1立方メートル当たり10マイクログラム増加すると、脳卒中の入院や死亡率は0.3~1.1%増加するという。

韓国人の死亡原因の2位は脳卒中だが、微細粉塵が関係している可能性もある。そんな研究を知ってか、韓国環境部は「微細粉塵の濃度が高いときは、高齢者はなるべく外出を控えたほうがいい」と注意を呼びかけている。

ただし、気をつけるべきは高齢者だけでない。

新生児の体重にも影響か

アメリカの全米経済研究所(NBER)は最近、ある研究チームが「中国黄砂と韓国の乳幼児健康」という報告書を発表したと伝えている。

同研究チームは2003~2011年の出生児155万人を分析しており、微細粉塵の濃度と新生児の体重における関係性を発見したという。

それによると、微細粉塵は新生児の体重と妊娠週数に悪影響を与えることが判明。「2500グラム未満の低体重児を産む可能性が高まる」という。同報告書は詳細な原因について解明していないが、韓国国内でも同じような結果が出ている。
 
高齢者から胎児にまで悪影響を与えるという微細粉塵。その濃度を下げる抜本的な対策は現在もなく、各人がマスクなどで対処するしか手はないという。

韓国における大気汚染の今後は、最近のソウルからの眺めと同じように不明瞭だ。

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