韓国で予期せぬ大地震が発生したら、原子力発電所の安全は確保されるのか。
そんな不測の事態に備えるための訓練が実施された。韓国安全部は最近、原子力安全委員会、蔚山(ウルサン)市、慶尚南道、韓国水力原子力など48の関連機関と共に、今年3回目となる「レディ・コリア(READY Korea)」訓練を実施したと発表した。
レディ・コリア訓練は、気候危機など潜在的なリスクによる複合災害に対して官民が共に備える実戦訓練だ。一度も発生したことのない災害状況を想定して行われる。
訓練には関係機関や地域住民を含め、過去最大規模の2200人以上が参加した。
気になる今回の訓練は、蔚山のセウル原子力本部から120km離れた海域で、2回の地震(マグニチュード5.0→8.6)が発生し、原子炉が停止、補助ボイラーから燃料が漏れて火災が発生し、少量の放射能が漏洩するというシナリオで行われた。
様々な初期対応のなかで、冷却水や電力の供給が中断され、原子炉の温度が上昇したという状況だ。自治体は直ちに緊急災害警報を発信し、バスや列車、船舶を利用して地域住民を避難所へと避難させ、蔚山・慶南警察庁は指揮車や機動隊車両などを動員し、交通を制御しながら地域ごとの住民避難を支援した。
また、国立気象科学院と釜山(プサン)警察庁は放射線航空探査を実施し、放射線の外部漏洩状況を確認。韓国原子力研究院は、探査ロボット「ラピッド」と施設整備ロボット「アームストロング」を原子力発電所内部に投入した。
政府と自治体の対応によって、韓国水力原子力が損傷した設備を修復し、移動型発電車とポンプ車で非常用電源と冷却水を供給したことで、施設は正常化された…。これで一件落着となった。
行政安全部の関係者は「国内の原子力発電所は1978年に初の商業運転を開始して以降、国際原子力機関の基準で一度も事故を起こしていないほど安全だ」と述べ、「今回の訓練は可能な限り最悪の災害にも備えるために実施された」と自信を見せた。
大規模な訓練をしていることからもわかる通り、韓国は原子力発電所や放射線問題に敏感だ。日本の福島原発事故はもちろん、最近では「処理水」の海洋放出でも強い反応を見せていた。
それは、世界でも韓国は原発が多い国だからかもしれない。2016年末の時点で運転可能な原発が25基あり、世界で6番目の数とされたが、問題は密集度だ。
かつてムン・ジェイン(文在寅)元大統領が「我が国は全世界で原子力発電が最も密集した国」であり、万が一事故が発生した場合には「想像を絶する被害につながり得る」と話したほどだ。
世界屈指の「原発密集国」だけに今後も万全の対策を講じてもらいたい。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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