「被告人の大統領」が誕生する可能性…次期大統領に最も近い李在明代表、“司法リスク”で前例のない局面へ

2025年02月28日 社会 #時事ジャーナル
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韓国最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表の大統領選出馬の行方を決定づける運命のサイコロが投げられた。

【注目】「大統領になれば裁判は停止される」と李在明、本当か

1審で議員職剥奪に相当する刑を言い渡された李代表は、3月26日に公職選挙法違反の控訴審判決を迎える。

本人は「早期大統領選挙」を既成事実化し、控訴審で無罪となっても有罪となっても、今後の大統領選出馬の歩みに支障はないと公言しているが、「罰金100万ウォン(約10万2000円)以上」の刑が下された場合、捜査・起訴とは次元の異なる「有罪リスク」を背負うことになる。

鍵を握るのは、最高裁判所が李代表の裁判にいつ終止符を打つかだ。

もし早期大統領選挙が実施され、その前に李代表の運命を決める最高裁の最終判決が出ない場合、前例のない局面が展開される見通しだ。

「無罪を主張するが、一部有罪の場合は…」

「記憶は消失し、自分に有利な内容に変わることがあるということを知った」 2月26日、李代表は控訴審最終弁論で28分間にわたり最終陳述を行い、公職選挙法違反(虚偽事実流布)の容疑を全面否認した。

彼は妻のキム・ヘギョン氏との口論に関するエピソードを引き合いに出し、「関心のないことは記憶できず、そもそも頭に入らない」と述べ、「記憶の限界」による発言まで刑事処罰すべきではないと主張した。

さらに、今回の起訴が「野党潰し」を狙った政治的なものであり、「正常な検察権の行使ではない」と批判した。

李在明代表
(写真=時事ジャーナル)李在明代表

李代表の公職選挙法違反に関する主要な争点は3点だ。

去る2021年10月から12月の大統領選挙を前にした放送のインタビューや国政監査で、①城南(ソンナム)市長在任時にキム・ムンギ氏を知らなかった、②キム・ムンギ氏とゴルフをしたように見せかけるために与党「国民の力」が写真を捏造した、③国土交通部の脅迫により、白峴洞(ペクヒョンドン)開発事業の用途変更を行った、という趣旨の発言をしたことが争点の核心となっている。

1審の裁判部は2024年11月15日、李代表の発言のうち、「知らなかった」という発言がキム・ムンギ氏とのすべての関係を否定したものとは解釈できないとして、①については無罪を言い渡した。

しかし、②「国民の力」の写真捏造、③国土交通部の脅迫についての発言は虚偽と判断し、懲役1年・執行猶予2年の有罪判決を下した。

「記憶」と「表現」の問題として主張

容疑を否認してきた李代表は、控訴審の最終陳述の段階で、③の白峴洞韓国食品研究院敷地の用途変更に関する疑惑について、自ら「問題のある発言」であったことを認めた。

李代表は「“脅迫”というのは私が誇張して表現したものだ」と述べ、「実際には腹が立っていた。最初は圧力と言っていたが、話しているうちにそれを脅迫と表現してしまった」と説明した。

さらに、「これを正確に表現できず、証拠もないまま話してしまったのは誤りだが、表現の不足から生じたことを考慮してほしい」と裁判所に対して情状酌量を求めた。

当選を目的とした故意による虚偽事実の公表ではなく、個人的な主観の領域である「記憶」と「表現」の問題であるという点を繰り返し強調したのだ。

李代表側は「無罪を主張するが、一部有罪と判断される場合は量刑に考慮してほしい」と述べ、仮に有罪が出た場合でも「罰金100万ウォン未満」を引き出す戦略を示した。

公職選挙法違反の容疑については、罰金100万ウォン未満であれば被選挙権が剥奪されないため、大統領選出馬に影響を受けない。

1審の量刑を考慮すると、「完全無罪」を引き出すのは容易ではないと李代表側も認識していると解釈される。特に、国土交通部と城南市の間で交わされた文書が存在する白峴洞発言に関しては、有罪を無罪に完全に覆すのは容易ではない状況だ。

李在明代表
(写真=時事ジャーナル)李在明代表

李代表が「脅迫は過剰な表現だった」と認めたことも、量刑に不利に働く部分を計算した結果であるとの分析がある。

これは、李代表の弁護人が▲選挙で敗れた落選者に対する異例の起訴であること、▲政治的な政敵排除を目的とした起訴であり、悪い前例となる可能性があること、▲キム・ムンギ氏および白峴洞に関する発言が、2022年3月の大統領選挙に決定的な影響を与えたわけではないことを強調し、「無罪を主張するが、一部有罪と判断される場合は量刑に考慮してほしい」と要求したことと同じ文脈にある。

「有罪」「無罪」両方の可能性を示唆

第1野党代表の命運がかかった選挙法事件を担当するソウル高等裁判所・刑事6-2部(チェ・ウンジョン、イ・イェスル、チョン・ジェオ部長判事)は、控訴審の開始と同時に「3月判決」を目指して迅速な審理を進めてきた。

注目すべき点は、裁判部がキム・ムンギ氏に関する発言の公訴事実を明確にするよう検察に要求し、最終的に検察が公訴状を変更したことだ。

法曹界では、裁判部がこのような指摘をしたことについて、李代表の「有罪」と「無罪」両方の可能性を開いたものだと見ている。

1審で無罪となった「キム・ムンギ氏を知らなかった」との発言を有罪とするための準備である可能性と、公訴事実の全体的な内容だけでは有罪と認定するには不十分という前提に基づいている可能性の両方があるという。

高等裁判所元判事のある弁護士は、「列挙的に記載された公訴状の内容だけでは、どの発言が虚偽であり、その根拠が何なのかを判断するのは明確ではないと見たようだ」とし、「発言一つひとつを個別に判断するという意図と解釈でき、検察がそれをどれだけ明確に立証するかによって結果が変わる可能性がある」と予想した。

検察は、1審・2審ともに懲役2年を求刑している。これは、大統領選の勝敗に関わらず、李代表が繰り返し計画的に虚偽の発言を行い、選挙に影響を与えようとした行為は犯罪であり、社会的に清算すべき積弊であるため、厳罰が不可避だという論理に基づいている。

また、控訴審の判決結果に関わらず、上告は確実視されている。

鍵を握るのは確定判決の時期

最大の焦点は、最高裁の確定判決が出る時期だ。

1審判決が起訴から2年2カ月後に出たことで、すでに公職選挙法の「6・3・3」強行規定は破られている(起訴後6カ月以内に1審判決、3カ月以内に2審判決、3カ月以内に最終判決を出す規定)。

仮に上告審で3カ月以内の判決が守られるとすると、判決期限は6月26日となる。

しかし、上告(判決後7日以内)、当事者への送達、上告理由書の提出(通知を受け取ってから20日以内)など、必要な手続きと主審最高裁判官の選定などに最低でも1カ月程度はかかる見込みのため、期限内に判決が出せるかは不透明だ。

その間、憲法裁判所が3月中旬に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾を「認容」して罷免する場合、60日以内(5月中旬前後)に早期大統領選挙を行わなければならない。

尹錫悦大統領
(写真=共同取材団)尹錫悦大統領

これは、李代表の選挙法に対する確定判決が出る前に大統領選挙が行われる可能性が高いことを意味する。

もし、早期大統領選挙が現実化した場合、李代表は選挙法違反の最高裁の審理が進行中の状況で選挙活動を行わなければならない。司法リスクの真っ只中で「大統領選挙の激流」を乗り越えなければならないという、高度な政治的方程式に直面することになる。

「薔薇(5月)の大統領選挙」と共に訪れるこの高度な政治的方程式は、李代表だけでなく韓国全体に大きな影響を与える可能性がある。

もし李代表が当選した場合、「大統領は内乱罪・外患罪を除き、在職中の犯罪について刑事上の訴追を受けない」と定めた憲法第84条の解釈をめぐり、激しい攻防が避けられない。

李代表の場合、選挙法違反の容疑を含め、すでに5つの裁判を抱えている。そのため「不訴追特権の範囲」をどこまでと解釈するかによって、「裁判の中止」が決まる。

しかし、学界でも「被告人である大統領」についての議論は不十分であり、「訴追」の範囲を起訴のみと見るのか、起訴だけでなく裁判まで含むのかについて、明確な結論は出ていない状況だ。

憲法裁判所元研究官のある弁護士は、「もし李代表が大統領に当選すれば、司法府と憲法裁判所は連続して巨大な政治的課題を抱えることになるだろう」と述べ、「最高裁と憲法裁判所は、尹錫悦大統領の弾劾審判に続いて、次期大統領または当選者の運命を連鎖的に決定しなければならない状況に直面する。決定の結果次第では与野党の双方から攻撃を受ける可能性があり、極度の混乱を引き起こす恐れがある」と懸念を示した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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